ビストロ レアール

石川県小松市にある「ビストロ レアール」のシェフがつづるあんなことこんなこと

フランス駄菓子の定番 ムラング

2005年08月09日 | メニュー紹介
(写真:フランボワーズのムラング)甘ずっぱい恋の味!





ムラング 【英語でメレンゲ】
日本に帰った時には
絶対にこのお菓子を作って
お客様に伝えたい!と心に誓った
フランスの駄菓子です

私が初めて出会ったのは
ノルマンディーで働いていた時

昼のサーヴィスを終えると

きまって

向かいにあるジルの経営するブーランジュリーで
クロワッサンオーザマンドとか
タルトスィトロンなどを
買い

頬張りながら

ペガサスブリッジと言う橋のたもとの
キャフェに通っていたのです

そんなある日
気分が変わって

丸いドーム型の何の飾り気も無い
白いお菓子をトレーに乗せ
レジのマダムにお金を払い
お菓子の入った紙袋を受け取り

しまった
こんなに軽いお菓子だったのかー
これじゃ小腹の足しにならないなー と

ペガサスブリッジに向かって歩きながら
さっきマダムから受け取ったお菓子を取り出し

一口

カシュッ コシュッ シュワ シュワワワワーーーーー

う う う うまい!
なんだこのお菓子は?

ペガサスブリッジを目指していたはずが
ジルのお店に向かって戻って
再びムラングを買っていました

それ以来
ペガサスブリッジに向かう私の手には
恋した ムラングがありました


           フランボワーズ、 抹茶、ココア、シナモンなど
           季節や仕込み状況にて作っております
            10個入り  ¥150(税込)

ルドヴィック

2005年08月08日 | フランスこぼれ話
夏のリゾート
サントロペにて一緒に良く遊んだ
ルドヴィック

背丈は私と同じ位で
何にでも興味をもっていて
よく日本のことを聞かれました

彼はフランス人らしく不器用なので
私はよくからかったり
いじめたりしました が
フランス人的かわし方で
反撃してきました

ルドと私の関係は
ある日のサーヴィスの中
ルドの付き合い始めた彼女の事で
他のキュイジニエ達から
からかわれて
仕事にならなかったルドをかばって
私が一喝!
それ以来
フランス人のなついた弟のような感じでした


パリに来た時も
電話をかけてきたり
レストランが変わったときには
必ず手紙をくれました
今どうしているのかなーと
時々思い出します。

食べても美味しい!

2005年08月05日 | フランスこぼれ話
ワイン用の葡萄は食べてもおいしくない
と言うことを
どこかで
聞いたか見たかしていました

その観念をみごとに打ち砕いた
出来事がありました

ノルマンディーのレストランで
仕込みをしている時

向かいの仕込み厨房の
冷蔵室より
チーズに添えられる
葡萄を
クリストフが頬張りながら

クリストフ:チャン マサ チュ マンジュ?
      (ねぇ マサ おまえ食べる?)と

くれた葡萄は
濃い紫色で
表面が曇りガラスのような葡萄で

一粒 口に含み

噛むと

口の中で皮がはじけ

葡萄のジュースが舌つたい

歯と頬の間に流れ

甘さと渋みが

交互にからまって

口から鼻へ抜け

涙腺をくすぐるような美味しさに

言葉にならず唸るような微笑を浮かべ

私:セ ボン グー(これ美味しいー!)と

クリストフ:これでサンテミリオンのワインが出来るんだぜ
      うまいだろ

それは アルコール分の無いワインを食べている感じで
アルコールが入っていると思えば酔えるのではないか?
と思うほどでした

クリストフの行った後

私も冷蔵室に

野菜やフルーツが入っている
木製の箱に入っている葡萄を発見
冷蔵室では

ワインセラーでワインをテイスティングしている
ソムリエ気分でした

この日から
だんぜんサンテミリオンの虜になりました。

賄いの定番ローストチキン

2005年08月05日 | シェフのコラム
レアールの
ローストチキンガーリックライス詰めの
ベースは
ノルマンディーのレストランの賄いで
毎週のように食べていた
ローストチキン!

従業員全員ぶん焼くので
6羽位一度に焼いていました

前日に食べる分のチキンを
ロース糸で縛り
塩胡椒して冷蔵庫の中で
じっくり味を含ませます
次の日さらに皮目に塩胡椒して
熱く熱したフライパンで
焼き色をつけてオーブンで火を通します
そして肉汁が落ち着くまで
しばらく保温して盛り付けます

普通ホテルや宴会場などで
お客様に切り分ける時には
女性には
やわらかい胸肉をとりわけ
男性には
硬くても味の濃いもも肉を取り分けます

賄では
「レエール?キュイッス?」(胸?もも?)と
切り分ける人が聞いて
その日の気分で
ももを選んだり胸を選んでいました
当然そのテーブルの横には
アキダが待ち構えていました

なんと贅沢とお思いでしょうが
フランス人にとって
ローストチキンより
仔羊肉や鳩、鴨の方が
贅沢と思っています
チキンや牛肉は家庭で食べるもの

それ以外の肉はレストランでという考え方です

週末の食卓を

ローストチキンガーリックライス詰めも
一年中気ままに食べてみませんか?

前々日予約で
ご利用出来ます

一羽 4人前程 ¥3,360(税込)


ダーバン

2005年08月05日 | フランスこぼれ話
私の年代しか解らないネタかもしれませんが

昔 TVコマーシャルで

紳士服の宣伝で
バックのナレーションで
アランドロンが

”ダーバン セ レレグウーントカナントカ”と

当時 何を言っているのか解らなかったのですが

耳が慣れて
フランス語も解ってきた頃

フランスのバラエティー番組に
丁度アランドロンが
ゲストで出演している時
昔見たCMを思い出して

あっ そうか あの時に言っていた言葉は

そういう意味だったのかーと
一人で納得していました

あのナレーションでなにを言っているか
知っている方少ないと思いますので

”ダーバン セ レ レガンス ア ラ モデルヌ”
(ダーバンそれは現代風の優美)

と言う訳です。

恐怖の電話!

2005年08月04日 | フランスこぼれ話
フランスにも
方言やイントネーションの違いがあります

国境近くの地方では
幾つもの言葉を使います

アルザス地方では
アルザス語フランス語ドイツ語など
普通に使い分けるのですから
驚きです

フランス語に慣れるまで
人によりますが
私の場合
半年たって  
単語と単語がどこで切れているかが
やっと解りましたが
何を意味しているかを把握しておらず
いつも「ウィ ウィ」言って
気が付けば
仕事を山ほどたのまれて
困った事がありました

その他にも
同意を求める言葉を言われて
本来はノンと言わなければいけないところを
「ウィ」と言って
ケゲンそうな顔をされたりして
取り繕うのにはずかしい思いをしながら

一年経つと
受け答えが出来て
おまけに質問も出来るようになりました

二年もすると
フランス人と口げんかするまでに
なっていました

フランス語を聞き取るまでには
毎日フランス人と

解らなくても話

恥をかき

失敗を重ねながら

耳が慣れるのですが
慣れるまでは
フランス人のしゃべる
口元を見ながら
何と発音しているかを
目と耳で覚えました

私のいたノルマンディー地方は
寒い地方なので
あまり口元を開けずにしゃべるので
本当に聞き取るのに苦労しましたが

後にディジョン、コートダジュールと
下がって行くに従い
口をはっきりと開けて
しゃべってくれるので
細かいところの知らない単語以外は
聞き取れました

ノルマンディーと言えば
日本で言うところの青森かなぁ

青森と言えば

津軽弁

私の中学の同級生に青森から転校してきた
子がいてその子に
津軽弁を教えてもらったのですが
あまりのむずかしさに

「俺、頭、良く、無い、から、良く、解らない、やー」と言ったら

彼は それ津軽弁で言ってみようか

「わ ずんぶ あだま いぐねぇ がら わがねぇ でぇやー」

これを 

息をつかずに一気に言ってみて下さい

文章の長さといい 濁点のかかり具合といい
フランス語に
似ていませんか





このブログを見ながら真似てみる
貴方が見えますよ

話はそれましたが
魚料理担当のフランク(イワン レンドル似)
が良く話しのネタにこのことを言って
からかってくれました(友情をもって)
まだ相手の口元を見ながら出ないと
フランス語が解りずらかった
ある日

厨房には私一人

内線電話が

静かな厨房に

ル ル ル ル >>>>

おそる おそる

受話器を手に取り

静かに耳をあて

私:ア ア ア アロー

マダム:セ キ(だれ?) {これくらいは解りました〉

私:セ マサ

マダム:アーマサ ナントカー カントカー アーシテー コーシテー
    コーナッテ アーナッテ オケー

私:ウィ ウィ ウィ ウィ ウィ ウィ

ガチャ




私は呆然と今何を言われたか解らずにいた時
フランクが入ってきて

マサ今マダムから電話がなかったか?と

私:ウイ

フランク:ナンテ?

私:ワカラナイ

フランク:エー!

そしてフランクはレセプションに居る
マダムに話の内容を聞きに走って行きました

それ以来
しばらくの間は
電話を取ることに
恐怖を覚えたのでした。

今では振り込め詐欺の恐怖が
巷を震わせております
みなさんも
お気を付け下さい。

マダム スカビネール

2005年08月02日 | フランスこぼれ話
ノルマンディー マノワーダスティンの
マダム スカビネール

とても 上品で
いろいろな所に気が付く方でした

マダムの足元には
必ずアキダがいて
お客様をお迎えする
レセプションにいました

夏の暑い時でも
襟が高く袖の長い服を着て
肌の露出している部分をおさえて
昔ながらの着こなしをされていました

サーヴィスの時に
厨房でシェフが
どなっているとすぐに駆けつけ
”クローーード ナントカー カントカー スィル ト プレ クロード!”

収まるのです

パトロン(経営者)の食事は
基本的に皆と同じ物を食べますが
必ず一言キュイジニエに声をかます

マダム:クリストフ ナントカー カントカー
    トレ ビアン

クリストフ:メルスィ マダム

マダム:マサ ナントカー カントカー
    トレ トレ トレ ビアン

私:メルシー マダム

と言ったところです

気を遣うという事で
とても 感激したのは
滞仏二年目の冬に
ノルマンディーを訪れた時

お客様の予約もない暇な時期に
まだ マダムと一緒の写真がないので
お願いしたところ

マダム:マサ ダンロノ マエ ガー ヨイデショー と

マダム:フランク!ナンデー ダンロノ ヒガ ツイテ イナイノー!

フランク(ギャルソン):デモ マダム キョウハー 

マダム:スグニー ツケナサイ!

フランク:ヨヤクノ オキャクサマガー ナイトキハー>>>>ツケナイデイイト、、、、

マダム:フラーンク スグニー

フランク:ウ ウ ウィ  マダム と

お客様の為にではなく
私との写真の為にだけ
暖炉に火をつけた
心遣いに

心 暖まる思いで一杯でした。

ムッシュー スカビネール

2005年08月02日 | フランスこぼれ話
ノルマンディー カン市
べヌビル
人口1800人の小さな村にある
オーベルジュレストラン

マノワーダスティン

ミシュランガイドで一つ星
そこのオーナーシェフ
ムッシュー クロード スカビネール氏

私の身長が186.5cmなのに
見劣りしていないでしょ

とても優しく寛大なシェフでした


シェフのエピソードはいろいろありますが
そのひとつに

ある日
昼のサーヴィスが終わってから
シェフとマダムの食事を
シェフみずから作っていたのですが
オマール海老を

オードヴルの調理台の
引き出しから
私の包丁を取り出し
包丁の刃に布を巻きつけて
柄の部分で
あの硬いオマールの殻を
叩き割っていました

(あっ そ そ そ それぼくの ぼくの>>>>>)と
言おうとして
やめました

シェフが
調理する姿があまりにも
一生懸命で美味しいものを
作るぞ!と感じていたからです

夜のサーヴィスの為
調理場に入り
引き出しを開けると
オマール海老と戦った
傷だらけになった
包丁が勲章のように光って見えました

またある日の昼
シェフにたのまれ

シェフ:ムニエル焼けるか?
    焦がしバターは?

私:ええ 焦がしバターはレモン汁で仕上げるソースですね!

シェフ:「マサ じゃあこの舌平目をムニエルにして
 仕上げに焦がしバターを>>>と言っているシェフの横を

書類を小脇に抱えながら
マダムが通りすぎざまに

「アヴェック スィトロン ヴェール(ライム汁で仕上げて)」と一言

シェフ:「あ マサ 焦がしバターにライム汁でなっ!」

とても寛大なシェフも
マダムの一言で
変わってしまうのは
万国共通でしょうか