『名古屋市立大大学院医学研究科の教授らによる論文捏造(ねつぞう)問題で、名市大は19日、不正を主導した原田直明准教授(44)を同日付で懲戒解雇とする処分を発表した。共同研究者の岡嶋研二教授(58)は直接不正を指示した証拠がないことから停職6カ月とした。
関係者によると、岡嶋教授は3月末で任期が終了。再任用の申請が出ておらず、名市大を退職する。
大学の調査委員会は、岡嶋教授が責任著者となっている1997~2011年の論文19本に画像の捏造や流用があったと認定した。このうち8本で原田准教授が不正を主導したと判断した。
[1]』
3月に不正が認定された名市大の岡嶋・原田の捏造事件は原田直明が捏造を実行し、岡嶋研二が不正の放置等何らかの関与をしたとして決着した。ただ、報道からわかるように岡嶋は捏造を主導したという疑いを持たれ、不正を指示した証拠がないので停職6ヶ月で済んだ。停職6ヶ月とはいえ雇い止めになり事実上の解雇といえる。他の研究機関で岡嶋を雇うところもないだろう。退職金をもらえるだけましと思わなければならない。この事件を知る人たちの中にはこれだけの捏造事件の責任が停職6ヶ月程度で済むのは軽すぎるという人もいる。
さて、名市大の捏造事件は本当に岡嶋研二が指示したものではないのだろうか?
本人は知らないと否定しているし、証拠がないのだからそれで済ますしかなかったのが名市大の調査だ。では、
(1)不正論文の大部分に岡嶋研二が関与し責任著者となっていたこと。
(2)捏造の実行者は原田直明だけでなく、大分大学元講師も実行者であったこと[2]。
(3)岡嶋・原田が熊本大学に在籍していたときも彼ら以外に2人不正に関与したものがいたこと[3]。
といったことはどういう原因によるのだろうか?岡嶋の指示がなかったとすればこれらはすべて岡嶋とは関係なく偶然が重なっただけということになる。つまり、岡嶋が関わっていた研究室ではなぜか何人もの部下が勝手に捏造をしたということが続いたということだが、そういう判断は健全な社会常識に照らして合理的といえるだろうか。
証拠はないらしいが、本当に岡嶋研二は不正を主導していなかったのだろうか?
参考
[1]中日新聞 2012.3.20
[2]asahi.com 2012.4.20
[3]熊本日日新聞 2012.3.19