此のところ思い出す藤村の詩があります。終戦は台湾で迎えました。引き揚げまで塀東より更に南の小さな町にあるバナナ工場に居りました。学校が始まっているそうだと聞いたのは、10月も半ば過ぎ、転校の手続きをして、汽車で塀東の女学校に通いました。国語と歴史の代わりに、北京語と台湾語の授業です。朝礼の号令は北京語、三民主義(サンミンツーイー・・・)と国歌を歌い、中華民国の国旗掲揚を複雑な思いで味わいました。混乱期とて自習になることが多く、国語の先生が見えて黒板に藤村の詩を書いて下さり、私達は必死にそれを書き写し、皆で大きな声で読みました。千曲川旅情の歌に始まって色々教えていただきました。その中に「秋風の歌」がありました。所々しか覚えてないのですが、「静かに来る秋風の 西の海より吹き起こり 舞いたち騒ぐ白雲の 飛びて行く方も見ゆるかな」で始まる詩です。長い詩ですが、中程に「人は剣をふるえども げに数うれば限りあり 舌は時世を罵れど 声は忽ち滅ぶめり」確か最後は「高くも烈し野も山も 息吹惑わす秋風よ 世を枯れ枯れとなすまでは 吹きもやむべき気配なし」 暖かい台湾で烈しい秋風は感じ難いことでしたが、終戦の異常な雰囲気の中で忘れ難い詩でした。今の閉塞感のある時代に思わず口ずさみました。引き揚げが始まるからとたった2ヶ月で辞めた学校、本当の引き揚げまで2ヶ月余待ちました。65年も昔のこと、詩文間違っていたらごめんなさい。
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