震災と引き揚げ

井の頭線の土手は紫陽花がきれいですが、紫陽花に先立ち菜の花が咲いています。桜便りも聞かれ春が来たのに、原発の放射能の報道が、日を追って悪くなりどうなることか心配です。しかし原発で働く方々を始め自衛隊やボランティアの皆さんの懸命なお姿を頼もしく有難く思います。今回の震災で65年前の引き揚げを思い出しています。上陸用舟艇を運ぶリバティで帰ってきました。人が乗る船ではないので、鉄板にむしろを敷いただけで、子供の私でさえ足を伸ばして寝られるスペースはなかったように思います。高い天井は甲板なので、大勢の人の息で結露となり、水滴がぽたぽた落ちてくるので、新聞紙を顔に乗せて寝ました。トイレは舷に突き出して排泄物が海に落ちるように作られたものでした。ゆれて怖かったのを思い出します。台湾の高雄港を出て宇品の検疫所まで一週間位だったでしょうか。DDTの白い粉を浴びせられて、広島駅を通過した時、「広島は原爆に遭いましたが、ここまで復興しました。力を合わせて頑張りましょう」というようなことをアナウンスされました。希望を覚えたことを思い出します。日本はあの敗戦からも見事に立ち直り、あの頃考えもしなかった贅沢な暮らしが出来るようになりました。今度の震災もきっと克服することでしょう。被災者の方々どうぞ頑張って下さい。