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日本経団連の「労働法制に関する提言」の読み方

2013-05-29 19:16:47 | 労務情報

 日本経済団体連合会は4月16日、『労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制』と題する提言をまとめた。
 今となっては少しニュース性が薄れてしまい恐縮だが、これに関して「どう読んだら良いか」のご質問をいただいたので、簡単に整理してみることにした。

 この提言は、「現行の労働法制が労働者の実態に対応していない」ということを背景に、「労働規制の見直しが必要」と結論づけている。
 具体策としては、以下8項目(※コメントしやすく整理したもので、日本経団連自身のくくり方とは異なります)を挙げている。
(1) 企画業務型裁量労働制の対象業務・対象労働者を拡大し、手続きを簡素化
(2) 現行フレックスタイム制の不具合点の改正(計算方式の変更)
(3) フレックスタイム制における清算期間(現行では最長1か月間)の延長
(4) 天災発生時に限り代替日未定の労働日の変更を認める
(5) 三六協定の特別条項に関する基準(一時的・突発的かつ1年の半分以内)の柔軟運用
(6) 休憩時間の一斉付与規制の撤廃
(7) 勤務地・職種限定雇用において、その勤務地・職種が消滅した場合に契約終了とする
(8) 就業規則変更の合理性を、過半数労組との合意・労使委員会の決議等をもって推定

 このうち(2)と(4)と(6)は、現実に即した改善案であり、特に問題とはならなそうだ。
 一方、(7)と(8)は、「判例で示された事由を法定化すべし」との意見であるが、これらは個々の労使関係を踏まえて判断すべき事項を多分に含むので、法律として一般化するのは現実的でないように思える。なお、「金銭解決による解雇」の導入は、この提言では「困難」として見送った。

 物議を醸しそうなのが、(1)と(3)と(5)だ。特に(1)は数年前にも論争となった「ホワイトカラーエグゼンプション」(営業職・事務職等を労働時間規制から除外する)を含む案であり、(3)・(5)とともに過重労働の要因ともなりうるので、労働側からの反発は必至だろう。
 今後の議論を注視していきたい。


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