「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「初雪かずら」

2012-12-26 17:59:55 | 和歌

 「おや、此処だけ初雪かしら?」と訝った。

 離れた処から観れば、岩の上に這う蔓に初雪が積もった風情だ。蔓の先の部分の葉は白く、月日を経た葉は緑色に変色している。新芽の部分は、淡いピンクに染まって可憐な色合いだから堪らない。名前も「初雪蔓(かずら)」と、なかなか風流だ。

 

 この蔓を玄関先などに植えているお宅では、訪ねて来られた客人や、或いは道行く人びとに、住人に代わって「初雪かずら」に笑顔のご挨拶をさせているお積りであろう。真に心憎い気配りだ。
 草花には花時がある。
花が萎れ枯れれば愛嬌は失せるが、「初雪かずら」は季節に応じた葉色の変化は比較的に乏しいようだ。
春夏秋冬、笑顔を絶やさぬ優れものといえよう。

 近寄って観れば、新芽は恰も花の莟かと見紛う程だ。虚庵居士は年間を通して観察したわけではないが、季節による変化は比較的乏しいとはいえ、春から夏にかけての成長の季節は、美しさもそれなりに加わることだろう。そんな時節に、また逢いたいものだ。 


          岩の上 何故に其処だけ初雪か?

          訝る思ひの景色なるかな


          岩に這う「初雪かずら」に騙されぬ

          蔓の先々雪を抱きて      


          近寄れば恥じらい含むや白妙の

          頬染む乙女の笑みにあふかも


          訪ね来る客人ならず道を行く

          人々にまで微笑む風情ぞ







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