「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「じじ・ばばの宝物」

2011-02-19 23:32:58 | 和歌

 五才の孫娘が、横須賀の「じじ・ばばのおうちに、おとまりしたいの」と息子夫妻にオネダリして、両親と離れてたった一人でじじ・ばばと楽しい一晩を過ごした。夢のような一晩であったが、孫娘はじじ・ばばに素晴らしい「宝物」を残して帰った。





 五才にしては指先が器用な児で、「うつろ庵」の玄関に飾ってあった折り紙を持ってきて、ばば様に折り紙を教えてとせがんだ。花梨無垢のフローリングに座り込み、小さなサイドテーブルの上で、ばば様の指先を真剣に覗き込んでは、小さな手でせっせと折り紙をした。幾つかの折り紙を作り、パパとママへのお土産にした。その時のサイコロ折り紙は、「じじ・ばばの宝物」である。





 じじは、羨まし気に見ていたつもりはなかったが、孫娘は虚庵じじの顔を見てニッコリほほ笑んで、突如として色紙を挟みで切り始めた。何が出来るのだろうと見ていたら、「おのりをちょうだい」との注文だ。 

 指先に糊をつけ、切りだしたごく小さな紙片を青い色紙に貼り付けて、「じじのおかお よ!」と差し出した。次には指先で破った紙片をピンクの色紙に貼り「これがわたしなの」とかざした。二つの貼絵を糊で貼り合わせ、じじへのプレゼントだと言う。嬉し涙がこぼれた宝物は、額縁の隅に納まって、にこにこほほ笑んでいる。

 孫娘が帰って急に淋しくなったリビングで、虚庵夫人が「あら!」と素っ頓狂な声を上げた。
彼女の指さす先を見たら、別の場所のお飾りにしていた松傘が二つ、置時計の両脇に添えられていた。孫娘の即興のお飾りに、彼女の柔かな感性の一端を見た。ほんの些細な置き土産ではあるが、大切な「じじ・ばばの宝物」である。


              孫娘と天衣無縫の一晩は

              思えば神のお授けなるらむ 


              お風呂にてじじにせがむはスベリ台

              きゃっきゃの歓声お腹をすべれば


              ばば様は添い寝の翌日肩撫でて

              孫を気遣う一晩ならめや


              時を経て孫の残せる置き土産は

              じじとばばには宝に替わりぬ







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