「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「華やぎ忘れず」

2006-03-25 00:30:26 | 和歌

 「うつろ庵」の近くの遊歩道に、立て絞りの見事な椿「蝦夷錦」がある。

 通りがかりにふと根元を観れば、先ほどまで枝に咲いていたかのような華やぎを保って、 一輪の椿花が散り落ちていた。一重の藪椿の、清楚で純粋な雰囲気とはまた別な、命を掛けて華やぎを演じる雰囲気は、艶やかな往年のシャンソン歌手を思わせる。椿の花は、花咲く姿のまま潔く落花するのが理とはいえ、地に落ちてもなおシャンと、プライドを保ち続ける姿に、かのシャンソン歌手の晩年とイメージが重なった。

 無言ではあるが多くの訓えを頂き、それ故になお一層、いとおしさが募る思いだ。


  






             散り落ちて観る人なくも朽ちるまで

             華やぎ忘れぬ蝦夷錦かな



             地に還るその時までも椿花

             あはれ矜持をたもち続けて



             散り落ちた後の姿をいとをしむ

             人もいませば安らぎ逝きませ






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4 コメント

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リンク (あくあ)
2006-03-25 11:22:21
はじめまして



雪月花さんのブログがご縁で、貴ブログを知りました。私も(できるだけ)毎日短歌を詠むべく励んでいます。まだまだ未熟者ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
感動! (へぶらいびと)
2006-03-26 11:03:33
さすが虚庵様!落ちた花を見て尚これだけの情感を得られる事にただただ感服致しました。かのシャンソン歌手も黄泉の国で喜んでいる事でしょう。
ようこそ・・・  (虚庵)
2006-03-26 13:46:24
あくあ様

鄙の庵にまでようこそお訪ね下さいました。

毎日の生活の中で花に出会い、時に応じて心に感じたことを詠い、書き付けて参りました。拙い歌ですが、ご笑覧下さい。

「感動!」 に 感動!  (虚庵)
2006-03-26 13:54:10
拙い文と歌をお読み下さって、「感動!」して頂ける ”へぶらいびと様”に、虚庵居士こそ感動いたしております 

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