日本原子力学会シニアネットワーク連絡会主催のシンポジウムが、8月2日に
東大・武田先端知ビルのホールで開催された。 生涯を原子力に捧げて来た者の
一人として参加したので、思ひの一端を書留めておきたい。 虚庵居士
● シンポジウムのテーマは、「責任ある原子力総合政策を!
〜第4次エネルギー基本計画の具体化にむけて」という誠にお堅いものだった。
市民目線からはほど遠いテーマかなと思われたので、参加者は少なかろうとの予想だったが、見事に覆された。開会挨拶の時点で、凡そ250席の大ホールを埋め尽くす参加者に、眼を瞠った。福島事故以来、市民の皆さんが「原子力政策」と「日本の将来」に対して、極めて真摯に考えていることの、何よりの証しだ。
● 澤昭裕氏の基調講演は、エネルギー基本計画と我国の抱える複雑極まりない諸問題を、極めて明晰に分り易く分析し、日本の進むべき選択肢と判断の基準を提示された。新潟県刈羽村・品田宏夫村長の基調講演の演題は、「原子力発電所立地点の怒り」と過激な表現であったが、「電源供給の原点を考えよ」と、消費地の市民に問いかけていた。
● 第二部 パネル討論では、伊藤隆彦氏がエネルギー基本計画に於ける諸問題を指摘しつつ、福島事故後の核燃料サイクルの問題点を指摘された。越智小枝氏は内科診療科長の立場から、福島事故の健康影響と避難につき、周辺生活圏との連携で捉えることの大切さを指摘された。神津カンナ氏は市民への解説に際して、「聴く耳を持たせる」との、説明者側の意識が大切だと訴えられた。金氏顕座長は、不透明で複雑に絡み合う課題を手際よく整理し、フロアの皆さんのご意見をも取り込んで、パネル討論を差配されたのが印象的であった。
● 閉会挨拶で金子熊夫氏は、原子力とエネルギー問題には安全・安心・安定・安泰が大切だと強調された。共通項の安を除けば全心定泰となり、全国民の心が定まれば国家は安泰になる。この考え方を是非広めて行きたいと挨拶された。
● シンポジウムを終えた後に懇親会が開催され、参加者の半数以上もの皆さんがビールで喉を潤した。講師の先生方を囲み更なる議論が重ねられ、また日頃は接点が無い皆さんが、エネルギー・環境・原子力、日本の明日と人類のエネルギー文明等につき意見を交わす姿は、見惚れるばかりであった。この皆さんが居れば、我国の明日は大丈夫だ。
SNWは、シンポジウムでのご発言や成果を纏めて、何れ公表されるであろうが、此処には飽くまで個人的なメモの一部を転載し、感想を書きとめた。
念のため、開催案内からの抜粋を、以下に添付する。
日本原子力学会シニアネットワーク連絡会(SNW) 第15回シンポジウム
「責任ある原子力総合政策を!
〜第4次エネルギー基本計画の具体化にむけて」
日時: 2014年8月2日(土)13:00~17:30
場所: 東京大学武田先端知ビル5階ホール
主催:(社)日本原子力学会シニアネットワーク連絡会 (SNW)
共催: エネルギー問題に発言する会、エネルギー戦略研究会(EEE会議)
- プログラム -
総合司会:石井正則 (SNW代表幹事)
開会挨拶:小川博巳 (SNW会長) (13:00~13:10)
第一部 基調講演(1) 「日本の責任ある原子力政策について」(仮題)
澤 昭裕氏 (21世紀政策研究所研究主幹) (13:10〜13:55)
基調講演(2) 「原子力発電所立地点の怒り」
品田宏夫氏 (刈羽村長) (13:55〜14:40)
第二部 パネル討論 (14:40〜17:20)
座 長: 金氏 顯 (エネルギー問題に発言する会代表幹事)
パネリスト: 伊藤隆彦氏 (日本原子力文化財団理事長)
越智小枝氏 (相馬中央病院内科科長)
神津カンナ氏 (作家、コメンテーター)
澤 昭裕氏 (21世紀政策研究所研究主幹)
品田宏夫氏 (刈羽村長)
パネリストの問題提起 (14:40〜15:25)
-休憩・会場の皆様からの質問提出- (15:25〜15:45)
パネル討論 (15:45〜17:10)
パネリストと座長のまとめ (17:10〜17:20)
閉会挨拶: 金子熊夫(エネルギー戦略研究会会長,EEE会議主宰者)
(17:20〜17:30)
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