「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「夕暮れの秋明菊」

2010-11-25 01:02:28 | 和歌
 
 「夕暮れ」の続きではあるが、「秋明菊」がたおやかに咲いていた。

 人生の黄昏になると、「夕暮れの花」に興味を抱くのかしらと聞かれそうだが、散歩のタイミングが午後遅くになるので、ついつい「夕暮れ」が重なることとなった。この時節では、三時・四時過ぎには太陽が西に傾き、影がめっきり長くなった。夕日が沈む前であっても、家並の陰や木陰では薄暮の気配が漂うようになった。そんな散歩の途上で出会う白薔薇も、この「秋明菊」も白昼に観るよりは、薄暮のなかでの出会いは何やら情緒的だ。

 「秋明菊」は日当たりの好い場所であれば、花茎もシッカリして逞しさも備わるから、ぴちぴちの乙女の風情に育つが、並木道の木陰に咲いていた秋明菊は、どこか淋しげで淑やかな「手弱女・たおやめ」を
思わせた。薄暮の出会いでは、そんな雰囲気が殊のほか強調されるのであろうか。





 カメラを構えていたら、ひと時だけパッと明るくなった。雲の間から太陽がのぞいたのか、或は夕日が何かに反射したのかもしれないが、「秋明菊」の表情が咄嗟に明るさを増した。

 薄暮の雰囲気での「手弱女」も佳いが、微かに光が増した「かんばせ」は、にこっとほほ笑み、虚庵居士をシビレさせた。






              西日うけて長く寄りそふ人影に

              契りて後をおもほゆるかも


              白妙のしゅうめい菊は微かにも

              揺れて手弱女えしゃくするらし


              夕暮れに寄りそい咲くかなたおやかに

              ゆれる風情は夫婦ならめや


              夕暮れの秋明菊のかんばせは

              微かな光にほほ笑む君かな







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