玄関を出たら、金木犀の香りが漂ってきた。
これまで気付かなかったが、何時の間にか橙色の小さな花を咲かせていた。枝先の葉の付け根に控え目に花をつけるので、毎年のことながら、香りが「咲きましたよ」と伝えてくれるまで、気が付かないうつけ者だ。それほど数多くも無い庭木が、精一杯花を咲かせてくれるのだから、庵の主としては夙に気付いて、慈しむのであれば褒められもしようが、何時もながら迂闊なことである。
かつて友人に教えられて、「金木犀リカー」を仕込んだことがあった。散る間際の花を集めて、ホワイトリカーに漬け込むだけの到って簡単なものだが、金木犀の香りが愛おしく、カクテルに少しづつ入れて、かなり長いこと愉しんだ。今年もまた、
楽しめそうだ。
郷里に住んでいる老境の兄に、「金木犀リカー」を送ってやったら何と言うだろうか。
粋なプレゼントになるかもしれない。
香り来てそれと知るかな木犀の
花咲きにけり彼岸の中日に
木漏れ日のさし来て香る木犀の
花ひそやかに咲きにけるかも
木犀の花の香りを故郷の
兄に届けむリカーにとどめて
金木犀の香り。。。。
今朝、久しぶりにいつもと違う道を歩いてバス停に向かっていましたら、
どこからともなく甘く優しい香りが。。
とあるお家の庭の金木犀が枝いっぱいに花を付けていたのでした。
多忙な日々を送っていて、
秋がしずかに近づいてきたことを、
忘れていて、
花の香りにそれをそっと教えてもらったような気がしました。
自然の歩みは静かですが、確かなものがありますね。
歩いていると、木々や風が私になにか話しかけてきました。
「もっとゆっくり、たまにはきれいな空や雲を
みてごらん。。。」」と言っているようでした。
花の香りを 受け止めて
花の風情の ほのかな変化を
みいだせる そんな人こそ
ひと恋ふる 焦がれる想いを
分かち合える にょしょう にあらずや
ほのかなる花の香りをきみ召すと
結びし文に読むぞうれしき
北に向けておでかけとのこと。
ご無事を、お祈りしております。
以前、金木犀のことをお話いたしましたけれど
不思議に、この時期になると
道行く先々で、この香りに、ふと出会う
シアワセを感じることができますね…
植物の持っている時計の見事なこと!!
香りきて きみの姿を 探すとき
オレンジ光る 金木犀よ
かへし
きみ来ると知りせばせめて木犀を
柴戸に手挟む 香る一枝を