「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「土手の荒地花笠」

2013-07-09 12:13:57 | 和歌

 三浦半島を縦断する高速道路の終点・馬堀インターの土手に、「荒地花笠」がひっそりと咲いていた。

 草丈は人の背丈ほどにも成長する野草だが、葉も殆ど見当たらない茎の頂部に、ごく小さな花が控えめに咲いていた。枝分かれした茎のそれぞれの頂部に、米粒ほどの小さな花が疎らに咲くのだが、野原や土手では余程目を凝らさないと、花の存在すら気が付かぬ野草だ。

 近くで見れば、可憐な花があたかも花笠よろしく頭を飾っていた。 
カメラを構えたら、細い茎が風に揺らぎ、向こうに見える姫女苑の花もおぼろに揺れて、幻想的な世界へ虚庵居士を誘うかのようであった。

 

 「荒地花笠」はこれから秋にかけて、かなり長い期間に亘って咲き続ける。
一つの花が咲き終われば、花柄の上に新たな莟が膨らみ、可憐な小花は常に頂上に咲き続けるのだ。下の写真でも見れるように、花柄には長短バラツキがあるが、長い花柄は既にその長さだけ咲き続けた勲章といえる。

 秋まで咲き続けて重くなった花柄は、稲穂の様に首を垂れて枯れるが、多くの種子を抱いているのだ。次の年に備えて、生命の継承を忘れない逞しさには、脱帽だ。

 


           草叢の荒地に花笠頂きて

           ひそやかに咲く小花と語りぬ


           薄色の小花ゆれれば姫女苑の

           白き小花も揺れて応えぬ


           野に来れば野草の花々風に揺れ

           夢幻に遊べと手招きいざなう


           いと長き花柄なるかなその長さは

           よく咲き続けたとの勲章なるべし







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