「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「母鳩の号泣」

2012-04-08 00:31:11 | 和歌

 「うつろ庵の鳩ポッポ」の子育ては、悲惨な結果になった。

 未だ明けやらぬ早暁、母鳩の号泣に虚庵居士は目が覚めた。
 「グッグーゴーゴー、グッグーゴーゴー、グッグーゴーゴー・・・・」

 抱卵を交代する際に交わした、ごく控えめな優しい合図の鳴き方とは打って変わって、深い悲しみのこもった号泣だ。外に出て、母鳩の鳴き声を辿ったら、近くの電柱の一番高い電線に止まり、巣を見降ろして、辺りを憚らず泣き続けていた。

 やるせない思いに沈んで、虚庵居士はリビングに腰を下ろし、呆然と鳩ポッポの巣を眺めていた・・・。

 母鳩は30分程も泣き続けたであろうか・・・。
 やがて母鳩は、巣に戻ってきた。
 巣の縁に佇み、首を傾げて、冷たくなって眠る我が児を見つめていた。

 どれほどの時間が経ったろうか。
 随分長い時間に感じられたが、ごく僅かな時間であったかもしれない。
 母鳩は、我が児を抱こうとはせずに、巣を飛び去った。
 ・・・・・・


 気が付けば、何も手が付けられない一日であった。
 
 鳩ポッポの悲しい鳴き声が、今も聞こえている・・・。
 「グッグーゴーゴー、グッグーゴーゴー、グッグーゴーゴー・・・・」




 

          ははばとのこころをしぼるなきごえに

          ひたんにくれぬるじじとばばかな







最新の画像もっと見る

コメントを投稿