思わぬところで、「万作」に出会った。
幸いにもデジカメを携えていたので、そそくさとシャッターを切ったが、虚庵居士の力量では、満足な写真をご覧頂けないのが残念だ。
これまで生花の花材としてアレンジされた万作は、何べんか目にしたが、自然の状態で咲く万作には初めての出会いだ。枝のあちこちに枯れ葉を付けたまま、それを意にも介さずに咲く万作は、花弁の繊細さとはうらはらに、男気のあるのが気に入った。
梢にもごつごつとした身を開き
不器用に咲く万作なるかな
枯れ葉をも枝に残して気にとめず
万作咲けり 男の流儀に
如月の浅葱の空に金色の
細き花びら万作逞し
虫食いの枯葉を携え万作は
吾が春見よと手足を拡げぬ
金色の細き花びら温かき
産毛の莟みに含むぞいとしき
万作の金色の花まじまじと
近くに見れば赤き口かな
凍てつける真冬を耐えて解き放つ
万作の花 花弁の歓び
山間に自然に咲く万作には、何とも言い知れぬ素朴な親しみが感じられます。