「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「鈴なりの柿」

2013-11-08 01:13:51 | 和歌

 「鈴なりの柿」を、彼方此方で見かける季節になった。

 「うつろ庵」のご近所は、住宅街が造成されて未だ30余年だから、樹の高さは左程でもないが、柿の実がたわわだ。日本列島は北から南まで、柿の種類は様々だが、気候と風土が柿に適しているに違いない。 



 虚庵居士の子供の頃は、屋敷に植えられた数種類の柿の樹に登り、お友達と一緒にキャッキャともぎ取って、かぶり付いた。

 屋根の高さを超える程の木にもよじ登り、柿の実に爪を立てて甘柿か渋柿かを確かめてから、かぶり付いた。時には間違えて渋柿にかぶり付き、余りの渋さに思わず柿を投げ飛ばしたことも懐かしい。

 完熟した柿を潰さぬように、両手でそっと持ち、とろける甘~い柿に吸い付いたのも、つい昨日の様に想い出される。

 秋が深まれば虚庵居士の母は柿の皮を剥き、「吊るし柿」をせっせつくっていた姿が瞼に浮かぶ。


           柿の実のたわわに色付く季節かな

           子供の頃の故郷おもほゆ


           柿の木に競って登ったトモダチを

           想い出すかな柿を齧れば


           柿の実に爪をたてしか渋柿を

           見分ける術を子等は身に付け


           柿の木のいや高きまでよじ登り

           肝を冷やしぬ枝の撓みに


           柔らかき熟柿(じゅくし)を手にうけ吸い付けば

           とろりとノドまで流れこむかな


           幾星霜 歳を経れども故郷の

           子供の頃はいまだに昨日か


           見上げれば梢の柿の啄ばみの

           痕に観るかな小鳥の思いを







最新の画像もっと見る

コメントを投稿