「うつろ庵」の珊瑚樹の生垣を背にして、プランバーゴが白い小花を咲かせている。秋も深まると、珊瑚樹の葉は緑が濃くなって、光線の加減によれば黒味を帯びてくるが、それが却ってプランバーゴを浮き
立たせて、絶妙な取り合わせだ。
夏の間にたっぷりと葉緑素を貯め込んだ珊瑚樹の葉は、やがて得も言われぬ見事な紅葉を見せてくれる。その様な葉が一・二枚、この中に加わればこの上ないのだが、そこまでネダルのは欲張りと云うものであろう。
プランバーゴの別名は、「瑠璃茉莉・るりまつり」という。瑠璃色の花を咲かせるプランバーゴが多いので、この名前が付けられたのであろうか。夏の盛りから晩秋まで長期に亘って咲き続け、目を愉しませてくれるが、それにしては、花の後の花殻なども残さずに、身綺麗な姿を保つのには感心させられる。
花も人間も、花時を過ぎた後の姿は爽やかに保ちたいものだ。虚庵居士は若い時代ですら、花ある
人生を送れたか否かは甚だ頼りないが、せめて老境に達したこれから後の人生は、身支度のみならず、
よろず身の回りを爽やかに保ちたいものだ。プランバーゴには「無言の訓」を頂く此の頃である。
吹き出でる額の汗を手で拭い
”やあ ”との挨拶プランバーゴに
何時しかに長袖シャツの腕を挙げ
プランバーゴと目配せ交わすも
珊瑚樹の色濃き中に浮き出でる
プランバーゴは身綺麗にして
歳を経てわが身のけがれを拭わむと
小花のおしえを頂く今日かも
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