「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「塀越しのデンドロビウム」

2013-06-12 00:03:10 | 和歌

 「人間の出会い」は、思いもかけぬ劇的な出会いがあるが、「花との出会い」は花屋の店先や「ラン展見物」などを除けば、偶然の出会いが圧倒的であろう。

 隣町を歩いていたら、コンクリートの塀越しに庭木の枝がせり出しているのが目に入った。近づいてふと庭木を見上げたら、かなり太い幹にデンドロビウムが根付いて、花を咲かせていた。思いもかけぬデンドロビウムとの出会いに、住人にお断りもせずに失礼だったが、塀越しにパチリとカメラに収めさせて頂いた。

 株の大きさや絡み具合から見ても、殆ど手入れをせずに、長年好き放題にさせてる風情であった。庭木の枝が、塀越しにせり出しているのも、同じ流儀であろう。

 デンドロビウムの名前自体が、ギリシャ語の木(dendron)と、 生える(bios)に由来するというが、デンドロビウムはジャングルなどの樹に生えるのが本来の姿ゆえ、街中の庭木ではデンドロビウムにとってはご不満かも知らぬが、地上に放置されるよりは余程益しの環境といえよう。

 心なしかデンドロビウムの花が活き活きと、精気に漲っているように思われた。

 


           コンクリートの塀越しの出会い古株の

           デンドロビウムは大樹に咲くかな


           見るからに永き年月在るがまま

           寛ぐ風情ぞデンドロビウムは


           街中の庭木の居心地如何ならむ

           産まれ故郷のジャングルならずも


           住み人は花の思いを心得て

           大樹の幹に全てを託すや


           葉も茎もしどけなけれど活き活きと

           花咲く姿に精気を観しかも







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