「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「うつろ庵の白梅」

2014-01-29 03:47:41 | 和歌

 「うつろ庵」の庭先の白梅が、鏡開きと共に綻び始めた。

 鉢植えの盆栽だったが、取り敢えず花壇に路地植えして、何年になるだろうか。
梅の種類が不明だが、盆栽で愉しむような種類だから、路地に降ろしても成長が遅いのかもしれない。木の背丈はまだやっと80センチ程度だから、腰を屈めて香りを愉しんだ。

 頬をさすような厳しい寒さだが、馥郁とした白梅の香がより一層芳しく感じられた。



 綻び始めてからあっという間に、満開になった。
「うつろ庵」は三方が生垣で囲われているので、狭い庭だが風が遮られ、陽だまりになって開花を速めたのかもしれない。

 人間社会でも適切な環境を保てば、人間の育成は目を瞠るばかりだが、一方では適度な刺激を与えて、逞しさを育む配慮も必要だ。庭の白梅にとっては、陽だまりはこの上ない条件だが、冬の寒気は適度な刺激以上の厳しさに違いあるまい。
そんな試練を乗り越えて、やがてかなり沢山の青梅を生らすのだから、褒めてやりたい気分だ。




           わぎもこの何時もと異なる呼ぶ声は

           梅の綻びとく観に来ませと


           肩寄せて腰を屈めて白梅の

           綻び見入るじじとばばかな


           白梅の香りを聞かむと腰折れば

           冷気に漂う かぐわしさかな 


           ちらほらと綻ぶ梅は何時の間に

           さえだ小枝に咲き誇るかも


           陽だまりの此処だけ春が来にしかも

           襟巻手袋離せぬ睦月に







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