「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「零余子・むかご」

2006-10-14 22:51:29 | 和歌

 「うつろ庵」の葡萄棚は、いつの間にかすっかり「自然薯」の蔓に占領されて、「むかご」が沢山なった。





 昨年も丁度今頃、「むかご」を摘み取って、友人知人へお裾分けした。「うつろ庵」の数少ない貴重な産物ではあるが、お配りしたお宅にとってはご迷惑ではなかったか。しかし考えてみれば、『たかが「むかご」、此方が思い煩うまでもないか』との思いに辿り着いたら、いたく気楽になった。

 しごく質素な日常生活をしている虚庵居士夫妻にとっては、実のところ「むかご」は大変なご馳走なのだ。ごく薄い塩味で「むかご」を炊き込んだご飯は、将に絶品だ。「むかご飯」を堪能した後に頂く「お薄」とも、至極相性がよろしい。秋の味覚の中でも、虚庵居士のランク付けでは最上級品だ。

 斯くまでも他愛も無いことを喜んでいるのを知れば、悪友は「虚庵居士も老境に達したか」と揶揄されるに違いあるまい。






             何時やらに葡萄に代わる自然薯の
  
             蔓を透かして見ゆる秋空  



             花結ぶ実にはあらねど自然薯は
  
             むかごに己を主張するらし  



             いわし雲の広ごる頃ぞむかご飯に 
 
             干物も佳きかな庵の食事は  






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