「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「艶蕗・つわぶき」

2012-11-16 00:03:17 | 和歌

 ひと月ほど前から、「艶蕗・つわぶき」の鮮やかな花が咲いている。

 「うつろ庵」にも数株が咲いているが、何時でも写せると油断している間に、半月ほども経ってしまった。彼女たちの一番美しい状態は写せなかったが、艶やかな葉も鮮やかな黄色の菊花も、依然として虚庵居士を愉しませてくれている。

 「うつろ庵」の裏庭は、早朝の朝陽は差し込むが、日中から夕刻にかけては家屋の陰になって、気の毒にも陽射しが遮られる。そんな厳しさもものかわ、「裏庭の艶蕗」はふくよかに咲いた。花茎を東に傾けた姿勢からは、朝陽を精一杯受けようとの思ひが、切ないほどに偲ばれる。

 


          ふくよかに咲きつるものかわ艶蕗は

          陽ざしの少ない裏庭なれども


          ひんがしに茎傾けて首伸ばす

          姿はいとしも 朝陽を浴びむと




 早春の「つわぶき」は、春の到来を告げる薫り高い食材としても、貴重品だ。
佃煮もいいが、たっぷりの煮汁と共に頂く仄かな香りと、若干苦みがかった味は、自然の恵みそのものだ。白ワイン、或いは日本酒によく合って、酒量が些か増えるのが辛い、いやいや、たっぷりと堪能させて貰う虚庵居士だ

 東南の角に金木犀が鎮座する「うつろ庵」であるが、その木陰にも一叢の艶蕗が咲いている。生垣の珊瑚樹と金木犀に挟まれて、木漏れ日がスポットライトよろしく艶蕗の花を浮き立たせていた。この株の菊花は、珍しいことに通常の花弁と筒状の花弁とが入り混じった、誠に粋な艶蕗だ。花の印象も何処か、エキゾチックな雰囲気を漂わせて、虚庵夫妻を痺れさせるひと株なのだ。沢山咲いた中の、一茎だけを写した。

 


          木漏れ日のスポットライトに輝きて

          つわぶき眩しく咲きにけるかも


          何故ならむ何処か異なる雰囲気は

          ユニークなるかな 花弁のあしらひ


          木枯らしにカサコソカララと枯葉舞ふに

          温く咲くかな つわぶきの花は 







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