「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「孫へのメール  おんぶばった」

2011-10-01 00:46:36 | 和歌

 孫が写した写真集の一部を3回シリーズでご紹介してきたが、横須賀のじじ・ばばの「うつろ庵」に庭には、図らずも別種の Grasshoppers がご挨拶に来訪した。

 テラスで夕涼みを兼ねて、二人だけの月見の宴がすっかり気に入った虚庵居士は、夕暮れ近くになるとそわそわ落ち着かなくなる。テーブルクロスに代えて竹簾のテーブルセンターを敷き、風灯を吊り下げ、蚊遣り等の準備万端を整えて、グラス片手に晩酌が始まる。虚庵夫人は「あら、もう始まったんですか?」などと、愕きと蔑みの声が掛るのも当然だ。

 やがて陽も落ちて、虫の集きも盛んになる頃には、夕食の準備を整えて虚庵夫人が合流する。夏から初秋にかけての、又とない楽しみのひと時だ。ごく狭い庭だが、生垣にすっぽりと囲まれた空間には、庭木や草花の鉢植えがそれぞれ住人としての位置を占めて、秋の虫たちには恰好の演奏環境となっている。そよ風に吹かれつつ頂く食事は、エアコン環境の室内とは全く別世界だ。ついついグラスの数も重なって、毎晩が酩酊状態でこの世の極楽を堪能することになる。

 そんな朦朧とした目の前に、「うつろ庵」の Grasshoppers がご挨拶に現れた。
テラスの手作りのテーブル脇には、花虎の尾が咲き誇っていたが、散り残りの花が萎れる花柄に、「おんぶばった」の番が止まって、風に揺らめいていた。老夫妻の酩酊に付き合って、「おんぶばった」も酔いを醒ましているかのような気配であった。

 孫からの「写真集」メールの返信に、横須賀の Grasshoppers を送った。




 

          虫集く秋はきにけり我が庵の

          風灯ゆるるは 酔いにけらしも


          坪庭に秋の夜風は誘うや

          おんぶばったの番(つがい)が訪ぬは 


          夕暮れの庵の庭に語らわむ

          めおとのわれ等とおんぶばったは


          わが孫に紹介してよ望むらむ

          おんぶばったが訪ね來たるは


          海越えておんぶばったを遣わすは

          愕く孫の顔見ま欲しき







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