「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「紅白の梅」

2012-03-04 14:06:51 | 和歌

 1月末に「うつろ庵の白梅」として、10輪ほどの綻びをご紹介した。それ以来厳しい寒さが続いた今冬であったが、庭の白梅は未だに咲き続けて、虚庵夫妻を愉しませてくれている。こんな小ぶりの梅だが、今年もかなりの数の梅の実をつけてくれそうだ。


 
 10日ほど前に「うつろ庵の蘇芳梅」が咲き初め、見上げれば、いまではかなりの数の紅梅が咲いて、道行く人びとからも「見事ですね」と声を掛けられるこの頃だ。
この梅は名前の通り「蘇芳」色の花が特徴だ。昨今では蘇芳色などという、色の和名はほとんど使われなくなったが、日本画の絵具などでは相変わらずこの名前が使われているに違いあるまい。



 曇り空で光線が不足したので、小枝の濃い赤味の色合いが鮮明でないが、蘇芳梅は花だけでなく幹も枝も蘇芳の色を帯びているのだ。この梅は、花に全てを集中して実はつけない。蘇芳梅の花にかける思いが、ひしひしと伝わってくるようだ。

 伸び放題の小枝の先端まで莟をつけているので、次第に咲き上ってかなりの長い間、蘇芳の梅花を愉しませてくれる。花が咲き終わったら、小枝の一本一本を剪定するのが、虚庵居士の蘇芳梅への御礼である。彼女は1年をかけて再び小枝を伸ばし、来年もまたたっぷりと愉しませてくれるだろう。


 

          ことのほか寒さの厳しきこの冬は

          梅との語らい長きに亘りぬ


          稚けなき白梅なれども青梅の

          まろき実むすぶを夢みて待たなむ 
          

          見上げれば蘇芳の梅の濃き色の

          花咲にけり如月寒きに
                    

          天を指す小枝のそれぞれあまたなる

          莟をつけて春を待つかも


          花ならず小枝も幹も濃き色の

          蘇芳に身を染め梅花に尽くすや


          紅の梅花にすべてを捧げては

          実の一つだに付けぬを思ひぬ

 
          枝えだの先まで蘇芳の花咲くを

          日々に見上げて思ひを交わさむ

          
          蘇芳梅の花へのお礼は枝えだを

          切りととのえむ声をかけつつ







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