「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「鷹の爪」

2005-12-23 21:35:23 | 和歌
 
 寒さがつのると、寒がり屋の虚庵居士は温かなものが恋しくなる。殊に晩酌では何故か頑な拘りがあるが、これも体を温めてくれる大切な助っ人だ。下戸の酒好きとでも言うのであろうか、酒量はそれ程でもないが、清酒・焼酎・ワインなど等アルコールであれば何れもOKであるが、何時の間にか無類の酒好きになった。冬の晩酌の拘りは、ここ数年、「鷹の爪」である。小ぶりの鷹の爪であれば二つ三つ、大きなものであれば一つが、毎晩の晩酌のお相手である。

 鷹の爪は中に種を宿しているが、表皮も種も辛味成分をタップリとふくんでいるので、この辛味成分の助けを借りて、晩酌を愉しみながら身も心も温まろうというのが、虚庵居士の欲の深いところだ。この頃は芋焼酎のお湯割りが定番で、先ず鷹の爪のマニキュアから始まる。爪の中には空気を含んでいるので、そのままお湯割りに投げ込んでも、プッカリと浮いてしまって、辛味成分の滲出が足りない。鷹の爪のアチコチに鋏で切り込みを入れるが、種が出て来ない程度の切り込みにするのがコツである。グラスにマニキュア済みの鷹の爪を入れ、熱湯を適量注ぐ。このとき鷹の爪は内外に熱湯が注がれるので、半生状態に還元され、カプサイチンが程好く滲出する。然る後に芋焼酎を注いで、好みのアルコール濃度を確保するというのが、手順だ。

 食事のときは、大概ワインに切り替えるが、鷹の爪入りのグラスはそのまま使用し、食後のコニャックもまた然り。不思議なことに、ここまでくればカプサイチンはスッカリ滲出しつくしている筈であるが、コニャックの強いアルコールが、最後に残ったカプサイチンを余す所なく搾り出すようだ。

 かくして、虚庵居士は酒と「鷹の爪」の助っ人を得て、至極ご満悦と相成る。



 



             かくばかり見事な鷹の爪見れば

             飾りを越えてよだれを垂らしぬ



             奥様はパスタのアルデンテ ほどの良き

             辛味とトマトの味を誇りぬ


 
             傾けるグラスの赤き 鷹の爪の

             激しき口づけ 夜毎に酔ひけり



             激しくも赤き炎の鷹の爪の

             カプサイチンに燃えたつクチビル





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