「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「丸葉シャリンバイと磯菊」

2013-01-19 21:19:50 | 和歌

 東京湾に浮かぶ唯一の天然の島・猿島に、手が届きそうな至近距離の横須賀・馬堀海岸の遊歩道については、昨年の8月に「馬堀海岸の夕焼け」でご紹介した。
高潮・越波対策の護岸に沿って、カナリー椰子とワシントン椰子の並木が続く、散歩には恰好のプロムナードだ。

 椰子の根方には、数日前にご紹介した磯菊が、寒風に吹きすさばれてもなお、健気に黄色の小花を咲かせて、散歩する市民の皆さんの目を愉しませてくれているが、「丸葉シャリンバイ」の植え込みも控えめだがガンバッテいる。厳寒のこの時期には、夏から秋にかけては紫色だった実が、黒紫に熟してギッシリなっているのだが、道行く人々は殆ど気にも留めない様だ。

 実の姿形はブルーベリーによく似てはいるが、皆さんの関心が集まらないのは、食用にならないからであろうか。現金なものだ。

 

 そんな不満を呟きつつ、椰子並木の下をを歩んでいたら、ハッと目を瞠った。

 丸葉シャリンバイの実と磯菊が、あたかも相思相愛のような姿で、寄り添っていた。シャリンバイの小さな丸葉は、頭に手をやって照れている若者の仕草をうかがわせ、磯菊が肩を寄せる姿は、恋人に寄り添う乙女を想わせて、微笑ましくなった。

 


           椰子の木の根方を彩る磯菊を

           海風厳しく吹き荒ぶかな


           背をこごめ寒風に堪えて健気にも

           磯菊笑むかな 黄色の小花は


           車輪梅の丸葉の間に間に まろき実は

           黒紫に熟して黙しぬ


           斯くばかり控えめなればか諸人の

           めずる姿を見ぬぞ悲しき


           歩みくれば寄り添う二人に出会いけり

           丸刈り頭に肩寄す乙女か


           はにかむや頭に手をやるおの子かも

           寄り添いささやく乙女の姿か







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