「田平子・オニタビラコ」の綿毛が、今にも風に吹かれて飛び立つ風情であった。
道端に良く見かける、野草の鬼田平子だ。黄色の小花も可愛いが、花が凋んで暫らくすると溢れ出る、純白の綿毛も見事だ。種子を綿毛に託し、風に乗せて遠くまで蒔きちらそうとの作戦だ。野草の知恵には、誠に感服だ。
それにしても、鬼田平子とは随分なネーミングではないか。
田んぼや畑の地表面に、タンポポによく似た葉を平たく開くことから、「田平子」との名前を頂戴する野草だ。鬼が頭につくのは、些か大きめの田平子ゆえに付けられたものらしい。古人は、自然の在りのままの姿を的確にとらえ、誠にユーモラスに野草の名を付けた知恵には、感服させられる。
野草と人間の付き合いが、ごく密接だからこそできる野草のネーミングだ。
鬼田平子の綿毛に見惚れつつ、彼女の名前にも思ひを馳せる虚庵居士であった。
実物の大きさは、この写真のざっと三分の一程度だろうか。カメラの向きによって、鬼田平子の表情もかなり違ってみえることに気付いた。 ほんのチョットしたことも、愉しみに替えるこの頃だ。
道端に白き綿毛を見出して
鬼田平子と挨拶交わしぬ
白妙のか細き綿毛は微かにも
風になびけり囁く如くに
腰屈め鬼田平子と語らえば
おさなご近寄り共に見つめぬ
カメラ手にためつ眇めつ眺むれば
表情変えて爺に応えぬ
白妙の綿毛はやがて風に舞い
いずこに往くや種をたずさえ
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