北海道大学の学生たちとシニアが、真夏の一日、膝を突き合わせて対話する催しに参加した。
対話会に先立って、学生達が実験研究の 施設を案内して呉れるというので、虚庵居士は自宅を早朝に出て札幌には10時前に到着した。午前様が続く虚庵じじにとっては、肉体的にはかなりキツカッタが、集合指定の時間より早めに工学部に辿り着いて、ほっとした。
小一時間の余裕を、同行のG氏と共にキャンパスの散歩を楽しんだ。工学部本館近くの大野池には、蓮の花が咲いて待ち受けていた。
北大の広いキャンパスは、銀杏・ニレ・ポプラ等の巨木の並木が連なり、所々ナナカマドの巨木も混じるので、殆ど毎年訪れてはいるがその都度新たな発見や出会いが、興味を惹きだしてくれる。大野池はその様な巨木に囲まれた、落ち着いた池であるが、これまで蓮はとんと目に入らなかった。噴水や水鳥の遊ぶ姿が印象に残っていたが、広い池の大半を蓮の葉が占めて、純白や薄紅の花が見事であった。
定刻通りに学生が研究室の視察案内をスタートし、代るがわる丁寧な説明をしてくれた。かなり厳しいシニアの質問にも、学生たちは率直に答えて、何時しか楽しい交流が重ねられた。
昼食の後、大学院・エネルギー環境システム専攻の院生・学部生とシニア合わせて、約50名が真剣に意見交換を重ねた。福島原発の事故を踏まえて、学生からは厳しい突っ込みと共に、「自分がその問題を抱える当事者であったら」との発想のもとに、シニアに学生の思いをブッツケ、シニアの経験と知見に
基ずく真摯な発言を求める対話会であった。
次世代を担うことに夢と希望を抱きつつも、福島事故の余りにも厳しい実態に、躊躇を隠せぬ彼等で
あった。シニアとの膝を交えた対話を通じて、何物にも代えがたい「よし、やるぞ」との思いを、学生の多くが抱いたように見受けられた。打ち解けた懇親会の席でも、包み隠さぬ本音に接して、大野池の蓮の花の爽やかさと同じ、清純なものを虚庵居士に抱かせてくれた一日であった。
白妙のはちすが花はしきたへの
緑のしとねに目覚める今朝かも
まろき葉も水面の鏡も目にとめず
高きをみつめて頬染めるとは
大野池に浮かぶ蓮花こがれるや
いや高きかなニレの梢に
学生の揺れる心の悩み訊き
まことを伝えぬ疑念を晴らせと
爽やかな笑みは悩みの晴れにしか
眉間の縦しわ何時しか消えうせ
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