「うつろ庵」の「花虎の尾」が咲き始めた。
「うつろ庵」の花壇は、過去にもご紹介したが、各種の花がバトンタッチして次々に連続して咲き続ける、摩訶不思議な花壇だ。
種をあかせば、花時の異なる宿根草を狭い花壇に疎らに植えたら、彼女たちは年々歳々お互いに競い合い、或いは譲り合って、年間を通じて虚庵夫妻を愉しませてくれるのだ。
この時節は、旧暦のお盆過ぎまでが「花虎の尾」のシーズンで、20株余の花が咲き始めた。その中の一つに、有ろうことか空蝉が取りついていた。
「うつろ庵」の庭木からも、蝉の賑やかな鳴き声が聞こえて、夏の到来を弥が上にも印象づけているが、この空蝉も何時の朝であろうか、殻を脱ぎ捨て、朝陽を浴びて羽をふるわせ、元気に飛び立ったに違いない。
そう云えば、庭の彼方此方に蝉殻が取りついている。些細なことではあるが、豊かな自然の恵みを感じつつ、風雅を堪能するこの頃である。
夕涼みせむとて日除けの簾の陰に
坐せば応えぬ虎の尾の花は
涼やかな夕風吹けば微かにも
花虎の尾は揺れて応えぬ
蝉殻が花虎の尾にとり付くは
朝陽に飛び立つ記念のしるしか
この夕べ花虎の尾と空蝉を
相手に夕餉のさかずき重ねつ
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