「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「うつろ庵の万両」

2013-01-05 13:14:01 | 和歌

 「うつろ庵」の万両が、赤い実を付けて久しい。

 

 この万両は、小鳥の置き土産がいつの間にか成長して、実を付けるまでになったものだ。「うつろ庵」を取り囲む生垣に沿って、ツツジのフラワーベルトが植えられているが、その背丈を超えて顔を覗かせ、やっとその存在に気が付いた「うつけ者」の虚庵居士であった。

 成長が遅い万両ゆえ、多分十余年をツツジに囲まれて、じっと耐えていたことであろう。些か涕ぐましい成長の物語が偲ばれる。

 赤い実を新年のお飾りにしようと、玄関前の甕の上に置いた。
万両にとっては晴れがましい役回りで、清貧の「うつろ庵」には相応しい設えのつもりであったが・・・。

 正月二日は、早朝から烈風が吹きすさんだ。朝寝坊の虚庵居士が身支度を整えて玄関を出たら、万両の鉢は、何と甕から吹き落され、鉢は割れていた。 
幸いにも、万両に怪我は無かったので、早速代え鉢に植替えた。

 万両の涙ぐましい成長の物語に敬意を表して、年代物の鉢に植えてあったが、安物の鉢で我慢して貰うことにした。


             紅の実粒の耀く万両を

             年の初めの飾りに据えにし


             清貧のうつろ庵には相応しく

             万両晴れて 立役なるかな


             あろうことか 烈風吹き荒れ万両を

             鉢もろともに吹き飛ばすとは


             万両を見せばやとして設えを

             高みにせしを悔やむ爺かな


             幸いに いとしき万両怪我もなく

             代え鉢に植え再び飾りぬ







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