だいぶ以前から咲いていた下野だが、初夏の花のかたまりに比べて、梅雨明け近くの花序は随分小ぶりになってきた。
下野は元来、小さな花がかたまって咲くが、虚庵居士の好みからすれば、これ見よがせに大きな塊りで咲くよりは、小さく控えめに咲くところに下野の佳さがある。緑の葉群のなかにぽっと浮かぶ薄紅の花には、慎ましやかな風情が窺えて心が安らぐ。
側に咲いていた見かけない花の名前を尋ねたら、ご高齢の主は、「海辺で拾って参りましたが、名前を存じませんで・・・」と、済まなさそうな顔で言い訳をされた。此方が却って恐縮しつつ、下野の写真を取らさせて下さいとお願いしたら、「たいへん名誉なことで・・・」と仰られて、写し終わるまで傍に佇んでおられた。
控えめな老いたるあるじが躾けたか
慎ましやかなる 下野の花は
傍らに咲く花の名を問いしかば
拾い来たればと あるじは「言い訳]
緑なる葉群のなかに下野の
薄紅に浮き立つ花かも
「下野 しあわせヨ!」
との声が聞こえてきます。
下野は、遠くから観るも佳し 近くもよろし・・・。
花の名は知りませんでした。
下野の花、日本的なすてきな名前ですね!
虚庵様の和歌に詠われたお花、
お花も喜んでいることでしょう!
庭の片隅に、ひっそりと可愛らしく咲かせたい花ですネ。