「うつろ庵」の生垣に沿って植えた「大紫」が咲いた。
生垣の珊瑚樹が後ろに控え、新緑が大紫を惹き立てるかのような風情だ。
大紫の苗木を購入した際に、植木屋さんが「色はどうしますか?」 と問いかけたので、
欲張りの虚庵居士は
「いろいろ取り混ぜて」 とお願いした。
粗忽なことに、それぞれの苗木の色の識別をしておくのを頼み忘れたので、移植の段になってハタと頭を抱えた。混ざり具合は全くの偶然に委ね、「それも佳からん」と腹をくくった。加えて、敷地の東側の通りには「白つつじ」が植えてあったので、これとの調和はあきらめざるを得なかったが、結果的には紅白対比になって、「結構なご趣味ですね」などとお褒めの言葉を頂き、恥じ入って頭を掻いた。
躑躅の種類は「大紫」というが、「純白の大紫」も混じっているから、ややこしい。
これから暫らくは、萎れた花摘みが、虚庵居士の毎朝の日課だ。大紫の花はかなり大輪だから、萎れた花・枯れた花をそのまま放置すると、忽ち全体の品格が下がる。折角咲いてくれた大紫には、最後まで華やかに咲いて欲しいものだ。
珊瑚樹の新緑滴る足元に
彩り豊かに躑躅咲くかな
とりどりに入り混じり咲く大紫の
惹き立て役かな緑の垣根は
道端に床几を据えむか花愛ずる
道行く人に暫しの憩いを
朝なあさな萎れた花びらそっと摘み
大紫と語らふじじかな
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