「うつろ庵の梅花空木」が、沢山の花をつけてほゞ満開だ。
梅花空木の花は、小ぶりの五弁の花だが、かたまって花を付けるので、かなりの存在感がある。様々な緑で埋まった
庭では、白い梅花空木がポッと浮き出した様に見える。
この梅花空木は、「うつろ庵」の庭に根をおろして三年目だ。
初年度の一輪だけの開花にも感激であったが、咲き誇る様に咲いた今年は、また別の歓びを齎せてくれた。
朝のご挨拶で顔を近づけたら、仄かな気品ある香りが応えてくれた。清楚な花の表情と合わせて気品ある香りが、わたしも「うつろ庵」の住人よ、と誇っているかの様に感じられた。
そんな会話のさ中に、蜂であろうか或いは虻であろうか、花芯に取りついて花蜜を懸命に吸っていた。
花蜜に命を託す昆虫と、蜜を提供しながら受粉を援けられる梅花空木の自然の営みに、あれこれ想いを廻らす虚庵居士であった。
ほんの些細なことに悦びを感じられるのは、冥境に近づいたということであろうか。
様々な庭の緑に浮き出だす
梅花空木の白き花かも
五・六輪 頬寄せ合って綻ぶに
乙女等笑うその声聞かまし
毎朝のご挨拶せむと頬寄せれば
清しく香る 梅花空木ぞ
白妙の梅花空木の花蜜を
黒蜂からだを折りて吸うかな
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