「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「夕立とへくそ蔓」

2012-09-01 06:37:00 | 和歌

 久しぶりに夕立に降られた。

 近くの郵便局からの帰り道、自宅近くになってパラパラと降られ、自転車をガレージに収納中に本降りになった。かつて、雨に降られて雨宿りしたり、慌てて庇の下に駆け込んだりしたことがしばしばで、そんな情景が懐かしく想い出された。

 歳をとると用心深くなって、出掛ける際などは天気予報とニラメッコしつつ、傘の用意などをする習慣が付いて、外出して雨に濡れることなど殆どなかったが、ごく近くへの外出だったので、雨具の用意などせずに出掛けた帰りだった。

 この頃はどうしたものか夕立がめっきり減ったように思われる。気候変動の影響などという、大げさな変化ではないのだろうが・・・、などと考えている間に、夕立は降りやんだ。

 ふと気が付くと、お隣さんの生垣に「へくそ蔓」が小さな花を咲かせていた。細長い葉に雫を湛えたまま、その葉に埋まるような姿が、何とも可憐であった。それにしても、こんな可憐な花が、在ろうことかトンデモナイ名前を付けられたものだ。葉茎が放つ異臭のためとはいえ、余りにもそのものズバリで、口に出すのさえ憚られ名前だ。

 当て推量に過ぎないが、この蔓草にはそれなりの理由があって、特異な臭いを身に付けているに違いあるまい。例えば、害虫を寄せ付けずに身の安全を守るとか、或いは子孫繁栄の策かもしれない。それなりの研究を重ねた植物学者には、多分面白いネタを提供している事であろう。


 

            パラパラと雨降りだせばそそくさと

            逃げ足早めぬ自宅の近くで


            夕立に降られて昔をおもほゆる

            濡れて駆け込む大屋根庇に


            夕立の脚の速さやいましばし

            降りてまほしき庭木のためには


            佇めば通り過ぎにし夕立の

            雫を湛えてかずら咲くかな


            夕立に濡れそぼる葉に埋もれなや

            のぞく二輪のかずら花かも 







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