「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「日除けのむかご」

2011-10-10 16:13:45 | 和歌

 「うつろ庵」のテラスは、簾を庇風に設えて日除けとした。
この日除けの効果は抜群で、テラスが虚庵居士のお気に入りの休息場所になった。

 いつの間にか自然薯の蔓が柱をよじ登って、日除けの縁に絡み、あろうことか零余子(むかご)が垂れ下がった。簾の日除けに風情を添えて呉れたので、在るがままの姿を楽しむことにした。

 かつて虚庵居士は近くの防大山を散策した際に、自然薯の零余子を摘み取って来て、それを「うつろ庵」の庭にばら撒いた。すっかりそのことを忘れていたが、翌年になって自然薯の蔓が伸びだして驚いた。そんな経緯を数年前にも「零余子・むかご」とのタイトルで、写真と一文を掲載した。
しかしながら、自然薯の蔓が余りに蔓延って見苦しいので、蔓の根元からバッサリと刈り取って、サッパリとした気分になった。ところが、翌年も再び蔓が伸びだして唖然とした。

 思い余って蔓の根方を掘ったら、何と、立派な自然薯に成長していて驚いた。
あの時の、記念すべき収穫の写真を「うつろ庵の自然薯」に掲載した。

 それにしても、防大山の散策で摘み取った数粒の零余子が、素晴らしい生命力を発揮して「うつろ庵」に根を下ろし、斯くも多くの物語を提供し、楽しませて呉れようとは予想だにしなかった。これから先、どんな楽しみを提供してくれるのであろうか。 




 

          手作りの日除けの下に腰おろし

          ふと見上げれば零余子揺れいて


          逞しき生命力かな自然薯は

          己の居場所を日除けに得るとは


          日除けより蔓を垂らして語らふや

          下に寛ぐ爺を相手に


          散策の途上で摘みにし数粒の

          零余子のもたらす多くの楽しみ