「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「平身低頭の台湾レンギョウ」

2011-08-19 15:10:14 | 和歌

 「うつろ庵」の生垣の間から、「台湾連翹」が枝をせり出して、花を付けた。

 珊瑚樹の生垣は、少しでも風通しをよくしようと丹念に枝を剪定してあったので、台湾連翹は苦も無く 生垣を潜り抜けた。生垣の根元のフラワーベルトには、大紫のつつじが植えてあるがこれをも乗り越えて、枝先は通りまでせり出した。





 「うつろ庵」の前の通りは住宅地の中の道路ゆえ、車も人通りも疎らなのをよいことに、花枝の我が侭を暫しの間お許し願うことにした。 案の定、道行く人々は足をとめて「台湾連翹」にご挨拶したり、ケータイ電話のカメラに収めて行く娘さんもいて、皆さんに評判がよさそうだ。 




 
 甲子園の全国高校野球大会の開始と共に、咲き始めた頃は花数も疎らで、せり出した枝先も控えめであったが、勝ち残り校の数が絞られるにつれて、台湾連翹の花数は日に日に増えたようだ。

 驚くことには、花数が増えて枝先が重くなったら、道路にせり出していた台湾連翹は自ずと首を垂れて、道行く人々のお邪魔にならぬ程度の姿に納まって来たことだ。 「うつろ庵」の住人の身勝手を、「台湾連翹」自らが首を垂れてお辞儀し、許しを乞うかのよのうに見えるではないか。

 「あるじが剪定すべきところ、我が侭な男をどうかお許し願います。斯くの通りお詫び申し上げますによって、今暫し、この花をお楽しみ下さい。間もなく、あるじも身勝手さに気づき、私めの枝を剪定してくれるでしょうから・・・」
などと、ひたすら平身低頭の風情だ。

 甲子園大会が終わったら健児らの健闘を湛えて、台湾連翹の花を刈り取って彼らに捧げたい。

 

          生垣をくぐり抜けにし枝先の

          つぼみの花房 風に揺蕩う 


          稚き莟の房は風に舞ふに 

          雅に台湾連翹咲きませ


          さえだ延べて台湾連翹ささやくや

          道行く人の袖に触れつつ


          何時にしか台湾連翹枝垂れ咲くは
 
          主に代わりてこうべを下げるや