笑って禁煙できる本 価格:¥ 1,000(税込) 発売日:2007-04-06 |
喫煙をめぐるお笑い本。ノンスモーカーになるための、メンタルトレーニングが笑いとともに満載。
と言うと、間違いなくその通りなのだけれど、実は大間違いでもある。
世界の中でも、シュールなくらいに、喫煙リスクについての情報が歪んでいる国日本において、現実を見るとそれだけで笑えちゃう、ということでもあって、実は笑えない現実をもとにこの本は、笑いを提供しているわけですね。
きわめて良書です。
アレン・カーの禁煙セラピーでも禁煙できなかった人のうちの、何人かは確実にこれで禁煙できるでしょう。いえ、禁煙者ではなく、ノンスモーカーとして、ボーン・アゲインできるでしょう。
ほとんど時を同じくして、川床邦夫さんから、この本をご恵贈いただく。
もとJTの社員で今は、たばこ総合研究センター所属。
世界たばこ紀行 価格:¥ 2,800(税込) 発売日:2007-04-16 |
タバコ属植物を世界中にもとめて、ありとあらゆる「ニコチアナ」を求めた旅の見聞録。
たばこを文化的な嗜好品として位置づける文脈での本なのだけれど、ぼくはこれを大変楽しく読む。
「ニコチアナ」を書いた時のテーマは、「喫煙者、非喫煙者もたばこに囚われている」というものだった。自分自身が「非」喫煙者として囚われている、タバコをめぐる問題系について、これだけ多くの土地を旅し、探索した記録というのは、やはり胸に響くものがあるのだ。
ぼくが選んでいいなら、喫煙なんてなくなればいい。
それが無理でも、少なくとも、世の中完全に分煙にして欲しい!
それができない時点で、嗜好品だの、文化だのいっても空々しい。
ということを感じつつ、喫煙にしてやられた人類の記録を書きとどめる情熱は、やはり貴い。
ただ……この段落は、川床さんへの公開私信。
ある文化がリスクを伴うことは、よくある話。
にもかかわらず、喫煙は破格、なのです。
そのことをかくも無視できる国は、我が国だけのようです。
どれほど破格かというと、喫煙が発ガンと因果関係がないなら、ダイオキシンも、アスベストも、すべて無害ってことになってしまうほど。
ぼくはそのことをふまえたうえで、川床さんの多くの論考を読み、「ニコチアナ」を書きました。
いつかまた、お話しする機会があればいいなと思っています。
以上、私信モード終了。
ちなみに、最後の方のページで、ぼくの「ニコチアナ」の紹介もあった。
たしかに、ぼくはあの本を書くとき、川床さんの見聞を大いに参考にさせていただいたのだった。あらためて感謝。
>実は笑えない現実をもとにこの本は、笑いを提供しているわけですね。
そのとおりです。企画当初は造語やパロディ満載のお笑い本にしようと、大量のアイデア出しをしたのですが、最終的にフィクションのネタはほぼ全て消えました。タバコをめぐる現実の方がずっと強かったというわけです。その極上ネタをなるべく弄らずに出す寿司のような本だと思っています。
そういえば小谷野敦『素晴らしき愚民社会』(新潮文庫)P289で川端さんは「嫌煙派作家」と書かれていましたね。
私は「一介のチンピラ民間人」でしたが(笑) あの人、そろそろ公開論争受けてくれないかな~と思うこのごろです。
これからも折に触れて宣伝させていただきます。
それにしても、「嫌煙派作家」ですか。
まあ、間違いじゃないですよ。タバコの煙は嫌いですから。
ワイネフさんは、今度は、チンピラ禁煙研究家、くらいにしてもらえるかもしれませね。
彼の場合、「たばこ屋の孫に生まれ」たという原体験を自分のなかで整理できないのかもしれません。タバコを否定されると、幼い頃の想い出やら何やら、人生のすべてを否定された気分になってしまう。だから感情的に反発してしまう部分も少なからずありそうです。
それは、なんとも、ある意味、素敵です。
愚民社会、読まねばならないですかね……。