脱原子力国家への道 (叢書 震災と社会) 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2012-06-27 |
震災後にはじめてがっつり読む吉岡さん。
以前に書いた書評はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/kwbthrt/d/20110416
なにはともあれ、原発事故の問題に今も向き合い続けている人は必読の本だと思う。
というのも、吉岡氏は、原発に批判的な立場から原子力安全委員会の専門委員などをつとめ、原発事故後は、事故調査・検証委員の委員を務めた(務めている)人物だから。
ほかの人が見ているのとは違う景色を見ている。
中身は、これを読みたいとおもう人なら、自分でかみ砕けるでしょう。
少なくとも、自分の問題意識の最前列から、原発事故が退場しつつあるぼくなんかが言葉をつくすより、読んでもらうのが一番。
一点のみ、8章の「脱原発の目標とシナリオの多様性」は読んでおいて損はない(本書はもちろん読んでおいて損はないのだが)と、自分基準で特に強調。
反原発を唱えること。脱原発を唱えること。
言葉では一括りにされるなかで、どれだけ立場の多様性がありうるか整理している。
官邸前で、再稼働反対と主張している人たちとは別に(もちろんあれもひとつの立場として)、どのような脱原発がありうるか、情緒的な議論ではなく、ターゲットセッティングは大事だと思うのだ。
あ、もちろん情緒も大事だよ。それなしに、人は何かに向き合おうとはしないのです。
さらにもう一点言うと、民間主導と国家主導の脱原発があるという視点は、ぼくには新鮮でした。
あとは、これからの人口減に応じた電力の需要の減少をあてにできるかとか、いろいろ議論のしどころはあると思うのですが、よく知っている人や、よく知ろうとしている人、ぜひ。