かけ算には順序があるのか (岩波科学ライブラリー) 価格:¥ 1,260(税込) 発売日:2011-05-27 |
いまこの時点では、ここから見られるみたいだけれど、朝日デジタル購読している会員だけらしい。きょうみのある方は、なんらかの方法でご覧ください。
さて、書影つきで紹介した本は3冊あるのだけれど(本当にたくさんあるので選ぶのはすごく困難だった)、それよりも大きな紙幅を割いて、上の「かけ算には順序があるのか」を紹介している。
そして、ある意味、小学校の先生にケンカを売るような締め方をしている。参考までに、ラストのパラグラフ。
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具体物との対応を重視する算数から抽象的な数学へ、飛翔するための助走路がない。「憧憬」に至る前に「忌避」に傾く人を増やしていないか。この懸念はうがちすぎだろうか。
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この件は、以前書いたかけ算の順序についての記事でも、表明していることだけど、順序を徹底させる指導法は、結果として算数から数学へのテイクオフを邪魔してるのではないかということ。
また、「先生自身が、指導法ではなく、本当に正しい順序があると誤解すること」「教えられた子が、正しい順序があると誤解したまま成人すること(そして教員になったり!)」といった事例が、割合がどれだけはともかく、存在するかも、という件もなかなか恐ろしい。
前のエントリを書いてから、多少、知見が広がって、この指導法を批判する人が、「できる子視線」でものを見ており、元来、順序を揃える教え方は、分からない子を減らすためだ、といった指摘も受けた。
しかし、今もぼくはそれについてもピンと来ていなくて、実際にこの教え方をすると、算数が苦手な子が、かけ算ワールドへすんなり入っていけるのか、よく分からない。
実際にぼくは「できない子に順序を徹底させようとしてもかえって混乱する。もし順序が関係ないならわざわざ教えない方がいい」と言う小学校の先生を知っている(この先生は、正しい順序があると信じていた)。
指導法というのはなかなか深くて、その有効性については、専門性の高い人たちがやってくださいという立場(ぼくは深入りするつもりはない)。
しかし、少なくとも、小学校を卒業するまでには、「今まで教室のルールとしてかけ算の順序を決めてきたけど、これから先はどっちでもいいです」と解放してくれない困る。
というのが今最低限、お願いしたいこと。
問題は、誰にお願いすればいいのかわからないことなのだけれど。