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税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

株式の消却

2007-03-15 08:17:17 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、株式の消却についてまとめてみました。

株式会社は、自己株式を消却することができます。この場合においては消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければならなりません。
そして、取締役会設置会社においては、この決定は、取締役会の決議によらなければなりません。(会社法178条)

会社法では、旧商法と異なり、株式の消却はこの自己株式を取得して消却する方法しか認めていません。

自己株式を消却しても、発行済株式総数が減少するのみで、他に実質的な影響はありません。

株式の消却の会計処理は、自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額します。
もし、その他資本剰余金の残高が負の値になった場合には、会計期末にその他資本剰余金を零とし、その負の値をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額します。

法人税法の考え方は、自己株式を取得したときに既に資本金等の減少を認識していますので、株式の消却時点では税務的な処理は不要となります。

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特定の株主から自己株式を取得する場合

2007-03-14 08:12:31 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

以前、自己株式の取得(非上場会社で譲渡人を指定しない場合)について投稿を行いましたが、今回は特定の株主から自己株式を取得する場合についてまとめてみました。

譲渡人を指定しない場合の手続きは、その株式会社が①株主総会で一定の期間(1年以内)で自己株式買取の数・総額を決定し②その枠内で各実行時に、具体的な買取数や総額などを決定し、株主に通知し、これに応ずる株主が申し込みをすることにより行われます。

これに対し、特定の株主から自己株式を取得しようとするときは、株主総会の召集通知にその特定の者、及び特定の者以外の株主から特定の者に自己も加えた議案に変更するように請求ができる旨も記載しないといけません。(相続人等や子会社からの取得の場合を除く。)
この召集通知は、原則として、株主総会の開催日の2週間前までに通知しなければいけません。

そして、その特定の株主以外の株主で、自分を売主に加えたものをその株主総会の議案にしたい者は株主総会の開催日の5日前までに会社に請求することができます。

この株主総会の決議は、普通決議ではなく特別決議が必要です。
その場合、その特定の株主はその議案につき利害関係を有するので議決権がありません。
ただし、その特定の株主以外の株主が全員議決権を行使できない場合には、その特定の株主は議決権を行使できます。(例えば、1人会社など。)

申込総数が取得総数を超えるときは、取得総数を申込総数で除して得た数に各株主の申込数を乗じて各株主からの買取株数を計算するとしています。

最後に、株式会社は定款で特定の者から自己株式を買い取るとき、「特定の者以外の株主から特定の者に自己も加えた議案に変更するように請求ができる」規定の適用をしない旨を定款で定めることができます。
株式の発行後に、この定めを定款に設けるには、その株式を有する株主全員の同意が必要です。

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株主に相続が発生した場合

2007-03-12 08:28:44 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、株主に相続が発生した場合の相続人等に対する売り渡しの請求についてまとめてみました。

株式会社は、相続その他の一般承継によりその株式会社の株式(譲渡制限株式に限る)を取得した者に対し、その株式をその株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができます。(会社法174条)

そして、株主に相続が発生し、もしその株式を取得した相続人等がその会社にとってふさわしい株主ではないと判断したならその相続人等に株式の売り渡しの請求をすることができます。(会社法176条)
この請求は、その都度、株式会社の特別決議が必要で、その株式会社がその相続等があったことを知った日から1年以内にしなければなりません。(会社法175条)

この請求があった場合には、株式の売買価格は、株式会社とその相続人等との協議で決め、もし、協議がうまくいかなければ裁判所に決めてもらうことになります。(会社法177条)


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自己株式と繰延資産がある場合の分配可能利益

2007-03-06 08:27:50 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、自己株式と繰延資産がある場合の分配可能利益の計算について書いてみました。
1. 自己株式がある場合の分配可能利益の計算
説例1
前期末資本金:10,000千円 繰越利益剰余金:3,000千円 自己株式2,500千円

分配可能利益=(前期末繰越利益剰余金)3,000千円-(自己株式)2,500千円=500千円

2. 繰延資産がある場合の分配可能利益の計算
説例2
前期末資本金:10,000千円 利益準備金:2,500千円 その他資本剰余金:5,000千円
繰越利益剰余金:3,000千円 繰延資産:14,000千円

(1) 剰余金の計算
剰余金額=(その他資本剰余金)5,000千円+( 繰越利益剰余金)3,000千円=8,000千円
(2) のれん等調整額の計算
① 資本金等の額=(資本金)10,000千円+( 利益準備金)2,500千円=12,500千円
② (資本金等の額)12,500千円<(繰延資産)14,000千円<=(資本金等の額)12,500千円+(その他資本剰余金)5,000千円
③のれん等調整額=(繰延資産)14,000千円-(資本金等の額)12,500千円=1,500千円

(3) 分配可能利益
分配可能利益=(剰余金額)8,000千円-(のれん等調整額)1,500千円=6,500千円

簡単に言えば、保有自己株式の帳簿価額を配当可能額より減算、繰延資産の資本金等の超過額は配当不可です。

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三角合併

2007-03-05 08:47:19 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、三角合併についてまとめてみました。

合併、吸収合併をする場合、合併会社(合併後存続する会社)は被合併会社(合併により消滅する会社)の株主に、合併の対価として、金銭その他の財産を交付します。

その対価は、金銭の他その合併会社の株式はもちろん、合併会社の親会社の株式でもOKです。

ところで親会社の株式は、原則として、子会社が取得することは禁止されています。
また、例外的に取得が認められている場合でも、それで取得した親会社株式を長期間保有することは許されず、これを相当の時期に処分しなければいけません。

しかし、子会社が合併の対価として親会社株式を交付するときは、親会社株式を取得することが認められます。
そして、取得した親会社株式は、合併の効力発生日まで保有を継続することができます。

三角合併については、外国資本の日本進出などにつき、各界で議論が行われているようです。

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貸倒引当金(個人事業者)

2007-03-01 08:09:04 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、個人事業者の貸倒引当金についてまとめてみました。

1. 個別評価債権に係る貸倒引当金
事業を営む居住者の、事業遂行上生じた貸金等の年末残高に対し、貸倒損失に備えるために一定の金額を貸倒引当金に繰り入れた場合には、その繰入額が必要経費に算入されます。
繰入額は次のようになります。ただし、一定の事由を証明する書類の保存が条件になります。
(1) 次に掲げる事由に基づき、弁済を猶予されたり賦払にされる場合の、5年以内に弁済等されない金額(担保権などにより弁済等の見込みのある部分の金額を除く)
① 会社更生法等による更生計画認可の決定
② 民事再生法の規定による再生計画認可の決定
③ 破産法の規定による強制和議の認可の決定
④ 商法の規定による特別清算に係る協定の認可又は整理計画の決定
⑤ 法令の規定による整理手続きによらない関係者の協議で、合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
(2) 債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、かつ、その営む業務に好転の見通しがないことや災害で多大な損害が生じたことなどにより、その貸金等の一部の取立てができないと認められるときにおけるその一部の金額に相当する金額
(3) 債務者につき次の事由が生じている場合の、その貸金等の額(実質的に貸金と認められない額や担保等により取り立ての見込みのある部分の金額を除く)の50%相当額
① 会社更生法等による更生手続開始の申立て
② 民事再生法の規定による再生手続開始の申立て
③ 破産法の規定による破産の申立て
④ 商法の規定による整理開始又は特別清算開始の申立て
⑤ 手形交換所による取引停止処分

2. 一括評価債権に係る貸倒引当金
事業を営む青色申告者は、その事業に関して生じた貸金等(上記の個別評価貸金を除く)の貸倒による損失に備えるため、年末貸金等の合計額(実質的に貸金と認められない金額を除く)に一定の率を乗じた金額を貸倒引当金に繰り入れたときは、その繰り入れた金額を必要経費に算入できます。
① 繰入限度額
イ. その事業の主たるものが金融業以外 1000分の55
ロ. その事業の主たるものが金融業 1000分の33
② 貸金等に該当しないもの
イ. 保証金、敷金、預け金
ロ. 手付金.前渡金等のように資産の取得の代価又は費用の支出に充てるものとして支出した金額
ハ. 前払給料、概算払旅費、前払旅費等のように将来精算される費用の前払いとして一時的に仮払金、立替金等として支出した金額
ニ. 雇用保険法、雇用対策法などに基づき交付を受ける給付金等の未収金
ホ. 仕入割戻しの未収金

3. 貸倒引当金の翌年の処理
上記1又は2により事業の所得計算上、必要桂皮に算入された貸倒引当金の金額は、翌年総収入金額に算入することとなります。

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剰余金の配当(純資産額300万円の制約)

2007-02-26 08:32:55 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、剰余金の配当(純資産額300万円の制約)について書いてみました。

会社は、原則として、剰余金の範囲内で自由に剰余金の配当が行えるはずです。
しかし、会社法は債権者保護の観点から、純資産の額が300万円を下回る場合には剰余金の配当を認めてくれません。(会社法458条)

皆さんご存知のように、会社法で最低資本金制度が廃止されたため、資本金が1円でも会社が設立できるようになりました。しかし、少額な資本金の会社は、利益が計上されても純資産が300万円になるまでは、その利益は配当することができません。

〔説例1〕
資本金100千円、繰越利益剰余金1,500千円の会社の剰余金の配当
純財産額=100千円+1,500千円=1,600千円<3,000千円 ∴配当不可能

〔説例2〕
資本金2,000千円、繰越利益剰余金3,000千円の会社の剰余金の配当
分配可能額=3,000千円-(3,000千円-2,000千円)=2,000千円
配当時には、配当された剰余金額の10%を準備金に積み立てる必要があります。

このように、会社法は最低資本金制度を廃止しましたが、以前の最低資本金(有限会社の300万円)までの純財産額、これを剰余金の配当をする場合の最低限の基準として残したということでしょうか。

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自己株式の取得(会社法)

2007-02-20 08:17:19 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、自己株式の取得(非上場会社で譲渡人を指定しない場合)について書いてみました。

現在、自己株式(金庫株)の取得は自由になったと言われていますが、本当にそうなのか会社法の条文を追いながら確認をしてみたいと思います。

(1)まず、会社法155条です。
ここには、「株式会社は、次に掲げる場合に限り、自己株式を取得できる。」として、自己株式を取得できる場合を13個列挙しています。
自己株式の取得が自由にできるようになったといっても、限定列挙されたもの意外は禁止されているように見えます。しかし、この3番目が「次条第1項の決議があった場合」としています。この項目が、「株主との合意に基づく自己株式の取得」で結果的に、自己株式の取得につき理由を問わないということになります。

(2)会社法156条 株式の取得に関する事項の決定
株式会社が株主との合意により、自己株式を取得する場合には、事前に株主総会(臨時株主総会でもよい)で①取得する株式数②取得額③取得期間(1年以内)を決議(普通決議)で定めなければいけません。
このとき、買取額は分配可能額を超えてはならないこととされています。

(3)会社法157条 取得価格等の決定
株式会社は、前条第1項により自己株式を取得するときは、その都度、①取得株式数②1株あたり取得価額③取得総額④申込期日を、定めなければいけません。
取締役会設置会社は、取締役会の決議が必要です。

(4)会社法158条 株主に対する通知等
株式会社は、前条第1項の内容を株主に通知しなければならなりません。

(5)会社法159条 譲渡しの申込み
株式の譲渡しの申込みをしようとする株主は、株式会社に申込株数を明らかにし、その株主は、申込期日にその申込に係る株式につき株主となります。申込総数が取得総数を超えるときは、取得総数を申込総数で除して得た数に各株主の申込数を乗じて株数を割り当てることとされています。

このように、①事前に取得の大枠を決めておき、②実際の各実行時に、その枠内で、そのときの具体的な事項を決定し株主へ通知します。③その通知を受けた株主は買取数を申込み、期日に株主となります。そして、買取額は、分配可能限度額内という制限を受けることとなります。

基本的な自己株式の取得の手順は、上記のように、時間の流れに沿って条文が順序よく並んでいますので、ぜひ一度、法律の条文そのものを読まれることをお勧めします。

後日、譲渡人を指定して自己株式を買い取る場合や、上場会社の場合などについてもこのブログに投稿を予定しています。

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株式交換

2007-02-14 08:13:42 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、会社法に規定されている組織再編の1つの方法である株式交換について書いてみました。

株式交換とは、株式会社がその発行済み株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいいます。(会社法2条32号)
その結果、その株式会社は完全子会社、株式を取得した会社は完全親会社となります。
完全子会社の旧株主は株式交換により、完全親会社株式やその他の資産を取得します。

会社の買収をまともに行うと大変な資金が必要になる場合がありますが、この株式交換の手法をとり、完全子会社の株主に完全親会社の株式を交付すると資金は必要ではなくなりますね。
この株式交換の対価は柔軟化され、社債、新株引受権等でもOKです。

株式交換は、両当事会社とも株主総会の特別決議で承認をうるのが原則ですが、略式組織再編や簡易組織再編に該当する場合には株主総会決議が不要です。

合併(吸収合併)の場合、被合併会社が消滅しますが、株式交換では両当事会社が完全親子会社となり存続する点が異なりますね。

また、会社法に株式移転というのがありますが、これは「株式会社がその発行済み株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいいます。」(会社法2条32号)完全親会社を設立する時に利用する方法です。

株式交換に関しては、会計処理や税務の取扱に関して今後投稿を予定しています。

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重要な会計方針の注記

2007-01-31 07:53:44 | 新会社法
おはようございます。税理士の倉垣です。

注記表の注記項目のひとつである「重要な会計方針」についてまとめてみました。

現行の会計は、さまざまな領域で同一の会計事象に対し、複数の会計処理の原則や手続きなどを認め、企業はその中から一つを選択し、利益計算などを行い、そしてその選択した会計処理の原則や手続きなどは原則として継続しなければならないこととされています。

したがって、同一の会計事象に対して、その企業がどの会計方針(会計処理の原則や手続き)を選択するかにより利益額などが変わってきます。そのため、複数の処理方法が認められている場合には、その企業がどの処理方法を選択したかが、問題となります。
利害関係者に、その企業の選択した会計方針を情報提供するため、それが注記事項とされています。

重要な会計方針として、次のようなものがあります。
1. 有価証券の評価基準および評価方法
2. 棚卸資産の評価基準および評価方法
3. 固定資産の減価償却方法
4. 繰延資産の処理方法
5. 外貨建資産・負債の本邦通貨への換算基準
6. 引当金の計上基準
7. 収益・費用の計上基準
8. リース取引の計上基準
9. ヘッジ会計の方法
10. キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲

企業は、その選択した会計方針を毎期継続しなければいけないが、正当な理由に基づき変更したときは、その旨と理由および影響を注記しなければなりません。

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