みんなの畑の日記~農業実践教室

フォトシンセシスが運営する農業実践教室の講義の内容、様子を公開。週末を活かして野菜作りを学びたい方に。

農業実践教室~番外編:バリ島旅行~その①バリの田園風景

2012-01-11 16:12:50 | Weblog

ちょっとブログをお休みしておりましたが、実はこの間にバリ島に旅行に行っておりました。

トマトの苗を自分で作るようになると、栽培管理方法と定植時期によっては農閑期って一年を通してどこにも見当たらなくなってしまうのですが、視野を広げるのだ!という大義名分のもと(笑)、羽田を真夜中に出発する超ダッシュの3泊5日という旅程でバリ島に行ってきました。

 

この時期のバリ島は、雨期です。

色々な本やネットの記事に「雨期は一日中雨が降り続くということはなく、スコールが数時間ある程度」と書いてありますが、私たちが過ごした「滞在中丸2日間+到着日午後いっぱい+帰国日の朝」という時間の中では、到着日の午後一杯以外、雨はたまに止むことはあれど、基本的にはずっと降っていました。しかも、時々ものすごい風を伴う豪雨で。

 

 

さて。

バリ島で一番見たかったのは、田園風景です。

バリでは、米が主食です。川の水を利用できる地域では年に2作~3作のお米が作られます。川の水を利用するので、田んぼは地域ごとに組合的なものがあって、それで全体の水管理などをしているそうです。 

 

で。

バリの田園風景として最も有名なのがライステラス。

 

日本でいう棚田です。

ライステラスは、バリ島のあちこちにありますが、一番有名なのは「テガラランという地域のライステラス」です。上写真2枚がそれです。

実物を見ると、圧倒されます。とってもきれいです。

 

テガラランは、観光地である「ウブド」という地域から近く、ライステラスを眺めながら向かいにあるカフェで食事できるので、バリ島定番の観光コースの一つとなっています。

 

上写真を見ると、日本の棚田と違ってヤシの木があちこちにあります。いかにもバリ島っぽいのですが、ここまでヤシの木だらけの田んぼは、バリ島でもイレギュラーでしょう。

他の無名のライステラスは(下写真2枚)こんな感じ。

 やっぱりキレイです~。

でも、あそこまで垢抜けた感じはありません。

 

さて。

ワタシたちも、御多分に洩れず「 テガラランのライステラスを眺めながらのランチ」なるものを体験してみました。

きれいだなあ~と感激しながらお料理が出てくるのを待っていると、農業者がちょっとした作業をしている光景も目に入り、ああ~こういう光景、ワタシたちのような観光客に受けるんだろうなあと思いました。

同時に、フツフツと疑問が湧いてきたので、ガイドさんに聞いてみました。

この飲食店は、もしかして農業者が経営しているの???

 

ガイドさんによると、農業者は農業をしているだけで、飲食店は、農業とは無関係の事業者が経営しているとのこと。

そこで、農業者と飲食店経営者はうまく付き合っているのか聞いてみると、かつて農業者と飲食業者がモメたとのこと。

 

 

バリ島の棚田は、豪雨で崩れることもしばしばだとのこと。棚田の畔(棚田で言うと段々になって土手的に見える部分)には水を通すパイプの先端が所々見えるのですが、ワタシたちが訪れたその日も結構な勢いでパイプから水が出ていました。水が勢いよく落ちるその周辺あたりからどんどん崩れていきそうで、見ているだけで心配になります。

その上、バリ島は一年を通して温暖なので、畔には雑草はすぐ映えるでしょうし、棚田は、通路から栽培スペースまでとにかく狭いので、大型の機械を入れることもできず(もともとバリ島では稲作で大型機械をあまり使いませんが)、日々の農作業は手作業が多いです。

 

観光客が集まるあの景観は、その農作業の結果見える景色です。

その農業者の日々の労働の結果である景観に、農業者からすればレストラン経営者は言わばタダ乗りして大儲けする一方、観光客が来ることで農業環境は次第に悪くなり、そしてそれに対して何のフォローもないことに怒りを覚えた農業者が、抗議の手段として、棚田の段々の土をトタン板で押さえて、景観より農作業の利便性を優先した時期があったとのこと。

これに慌てた飲食店業者は、農業者サイドと話し合いをして、今では飲食業店の売上の数パーセントを農業者サイドに渡しているとのこと。

ちなみに、バリでも、米を年間3作のペースで連続で作り続けていると土が傷むという認識が広まっていて、普通の田んぼであれば米作の間に他の作物を育てることも珍しくないのだそうですが(普通のガイドさんが“輪作”についても語ってくれました!)、ここでは景観最優先の農業なので、常に景色が稲で埋まっているよう、収穫してはすぐに苗を植え・・・を繰り返しているそうです。その結果、収穫量は年々減っており、味もまた落ちているとのことでした。

それを聞いて、大分前に新聞か雑誌かで読んだコラムを思い出しました。

 

コラムでは、筆者がやはりアジアのどこかの国で「窓から見える昔ながらの農作業風景がウリ」の高級ホテルに宿泊し、実際、その光景に感銘を受けながらも「実はその農作業光景は、ホテル従業員が宿泊者のためにサービスで演じている光景ものなのかもしれない」と推察していました。

 

テガラランの観光客に見せることを主目的とした米作りは、ある意味とても割り切った新しい農業です。農業というよりむしろサービス業と言っていいかもしれません。

当然、賛否両論があるでしょうが、全体面積も狭く、あれだけの急傾斜で効率が悪いテガラランのライステラスで、食糧としての米作だけをしていた時に比べれば、農業者の収入は確実に増え、そして大分安定したのではないでしょうか。地域にもおカネが落ちるようになったことでしょう。

 

 

ところで、日本では、地域ごとに田植えの時期、稲刈りの時期はほぼ同じですが、バリ島ではこの時期、田植え直後、稲穂を付ける前、稲刈り直前の景色を同時に見かけることができます。

 

 

苗を植えたばかりの田んぼの100m程度先で間もなく収穫になる田んぼがある、というのは日本ではあまり見かけない光景ではないでしょうか。

 

ちなみに、田んぼ脇や集落のあちこちで、イヌやカモ、牛がのんびりと放し飼いされていました。

 

 

番犬も家畜も、放し飼いが普通のようです。

日本の戦前の農村風景というものをワタシはリアルには知りませんが、昔の日本もそんな感じだったのでしょうか。バリ島の田園風景、若い世代の目には新鮮に映り、年配の世代には懐かしく映るのかもしれません。

 

 

そんなわけでバリ島の田園風景。

きれいだなぁ~と見つめつつ、日本との比較や新しい農業の形、田園という景観の価値をどう考えるかなんてことまで考えを広げてみるのも面白いです。

 

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