染織工房豆ブログ

染織工房「豆」の日々の記録

織物

2007年06月11日 05時52分55秒 | Weblog
個展真最中です。
展示会場にいると、織物を少しかじった人がよく来ます。
その中で、一番困る質問が、「これは何織りですか?」と言うものです。
こういう質問をされる方は一応経験者ですが、大体楽しみのひとつとしてかじった事のある方です。手習い程度の講習などで、「これは◯◯織りです」とか言ってしまう講師の方が多いので、こういった恥ずかしい事を平気で聞いてしまう方が全国的に多いです。
これは聞く本人が悪いのではなくて、それを説明していない講師の先生方が悪いのであり、織物が生活からは慣れている事を物語ります。

織り名は、大体その地名や特徴的な柄などによって付けられます。
ほとんどが明治以後に命名されています。布は高級品以外はほとんど各家庭で、生産していました。仕事で織物を生産し始め、人を雇うようになってからブランド化させるために「◯◯織り」と付けるようになったのです。
それらの技法はほとんど「平織り」「綾織り」「繻子織り」等から発生する変化織りです。
「さおり」と言うものもありますが、あれは施設の布作りの思想です。趣旨は賛同しますが、布作りでの自立には繋がらないと思うので、個人的には納得しかねる点もあります。まして健常者がはじめからその思想でやる事はどうかなあと思います。

ですから「何織りですか」と聞かれても「平織りですけど、、、」としか答えられません。
期待されている答えはわかるのですが、その答えを持っていないので窮しています。多分ドコソコ織りとか言ってもらうと安心できるのでしょう。
ただ見た事も無い布を見ているのに、そのような事を聞かれる事には少なからずショックを受けます。
特に作品展の時は、こんな織物他に無いと思うのですが、工芸的な質問しかされない事に自身の未熟さを感じます。
確かに作品展の時に作家自身と話す事は難しいので、何となく自分の身近な事からアプローチしたいのも解るのですが、工芸的な質問をまだされる事にも文化的な未熟さを感じています。
織物らしからぬ布、というか工芸的でない布を制作しているつもりですが、まだまだだという事だと認識して精進しないといけないのだなあと痛感しています。

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