染織工房豆ブログ

染織工房「豆」の日々の記録

革ジャンを水洗い

2015年05月11日 18時01分42秒 | 布メンテナンス
数年前にカビが発生して着なくなった革ジャンをどうするかなって、暫く染色場に置きっぱなして置いたものを洗いました。
ある先輩が革ジャンにカビが発生したと申しており、思い出してやってみました。
20年前の革ジャンを、洗って綺麗にしたからといって着るのかどうかはわからないのですが、このままだと虫の餌にしかならないので、洗ってみましょう取りあえず。と言いつつすることは山のようにある。単なる現実逃避です。

ダメ元でやるなんてアホなことは考えておりませんので、気合い入りまくりです。
と言っても、普通の中性洗剤で、ゴシゴシ洗うんです。たわしで。でないとカビは落ちません。縫い代とかにおもいっきりはまっているので、そこは特に念入りにします。

コレがタンニン鞣しだとちょっと具合がわるいのですが、タンニン鞣しの服なんて今時着れないでしょ。硬いし、メンテナンス大変すぎる。その上僕が買えるような革ジャンは、クロムに決まっている。でも多分、世に出ている革服の9割強がクロムであると思います。

それはそれとして、コーティングが剥げているところを確認すると、クロムにまちがいありません。じゃあまあ水洗いしても多分大丈夫。熱を加えなければおそらく問題なく洗える。ここまで出来るのも、前にエイジング加工したいなって革をかなりいじめたことがあるからです。失敗しましたけれど。


コレを何度も洗ってすすいで、よく脱水して陰干しして、オイルを刷り込めば出来上がり。何の問題もなくいけると思われます。
これは、かつて大流行した8ボールと言う革ジャンの多分バッタモンです、冬は終わったばかりですが、洗ってみると今年着てみるかなあと思えます。V3みたいな色ですけどね。




ほんとに色々やらなきゃいけないことが多いのですよ。
明後日搬入です 糸楽の展示 第17回

宇フォーラム美術館  U-forum museum
East, 4-21-10, 東京都 国立市 186-0002

会期:2015年5月14日~5月24日(会期中無休)
開館時間:13:00~17:00(最終日16:00まで)
入館料:一般500円 中学生以下200円
※心身に障害のある方は無料。





修理中

2013年03月05日 11時12分58秒 | 布メンテナンス
昨日ギャラリーは休廊でありましたので、色々と事務処理と修理をしています。
RYUギャラリーにある白い椅子は、以前椅子の展示をした時にお買い上げいただいたもの。結構がたつきが出てきたので修理しています。
塗装や貼り付けなどをしておりまして、その乾燥待ちです。あまり寒くないのですが、ストーブもつけています。

がたつきなどは木が収縮するからと色々諸先輩方にご教授して頂きましたが、なかなかわからないものです。何年も前の木でもあるそうですが、皆どうしてるのかなあと考えております。
個人的にはあまり塗りたくないのですが、椅子ばかりは安心安全が第一なので、少し塗っています。
更に、脂のようなものが出るというので、椅子の足の裏にも塗っています。ココに厚めの革を貼ってしまおうかと考えています。

乾き次第本日の夕方に搬入したいと思っています。

それから、以前制作した革のバックの補修もしました。
革にシミが出来て取れないので、その部分を取り払って、新しい革を貼りました。下の赤茶の部分。
こんなこともしますので、カバンの補修もお任せください。



個展開催

2013年02月07日 07時14分26秒 | 布メンテナンス
今月末、27日より、富士宮のRYUギャラリーにて個展  EUPHORIA 開催。

本来は毎年この時期に工房展を開きますので、商品を展示する予定でしたが、今の時代情勢などを鑑みて、何かしらのアピールをしていかなくてはならないと思いましたので、展示替えしております。

EUPHORIA   根拠のない幸福感

便利な社会を享受している自身も含めた現代の一部の人間において、過去の遺産のみならず未来へ残すべき遺産をも食い尽くす勢いです。

これでよいのか、どうしたら良いのか、全体を急激に変えることはできなくとも自分のできることから、変えていくことができると幸いに感じます。

それで、立派なコンセプトに対して作品はどうかって言うと、小物ばかり集まってどうなるかわからない現状。何とかしなくてはね。

日本・アルメニア外交樹立20周年記念展覧会 『 響 』

2012年10月15日 11時06分23秒 | 布メンテナンス
桜木町駅近く元横浜銀行の建物で、日本・アルメニア外交樹立20周年記念展覧会 『 響 』 開催中です。
今回こちらの展示に参加させていただいております。

会場ではアルメニア大使の話があったり終始和やかな感じでありました。





こちらの展示、

ヨコハマ創造都市センター にて 10月14日~10月20日まで 11時から18時までの開場となっております。
お近くの方はぜひお越しください。

JR桜木町駅から5分ほどのところにあります。




今回はアルメニアに持っていった作品とは違うけれども、カタログの作品と同じだと思います。
似たようなものといえばそうですが、ちょっと違います。

お近くの方はぜひお越しください。

皮革製品のメンテナンス

2012年09月20日 06時27分15秒 | 布メンテナンス
皮革製品は昔から水にぬれちゃいけないと言われていますが,毎日持ち歩く様な鞄でそれは無理でしょうと思う人は多いはずです。
気を付けていても。知らぬ間に水のシミがあったり擦ったりしてしまう物。
そんな事は当たり前なので,気にしない方もおられますが,長く使うためには見た目もなんとかして,おきたい物です。まともな鞄屋さん等では、水等によるシミ落しは無理ですよって普通言われてしまいます。当然です。

そこで,染織家による、いい加減の鞄のメンテナンス。
画像みたいにくたびれつつある鞄の水垢落としです。実際にはシミです。水が付いて、そのまま乾いてリング上に染み付いてしまった物です。これを落としたいと思います。革の素材はタンニンなめしです。要するに表面のコーティングがされていないものになります。

 

写真が奇麗に撮れてあまりシミが無い様ですが,結構あるんです。
これを全体に水拭きします。水拭きした時にはっきりと解るシミは、ほぼ取れないと理解して構いません。



痛んでいる所はすぐに水がしみ込みます。
何故全体を濡らすかと言うと,水じみは水滴の大きさだけぬれています。水は乾く時に乾いている方に向かって行く性質があるので,水滴の外側へ向かって乾きます。そうすると中の色素等も一緒に持って行くので,リング状にしみが出来るわけです。
これをまた全体を濡らす事で,均一に色素を行き渡らせようとしている訳です。

余談ですが,この素材に染色をしようとすると痛んでる所がかなり濃く染まります。するとものすごく斑になります。それはそれで面白いのだけれど,布と同じく痛んでいる物の染めは難しいんですね。



このまま陰干しして,一晩置いときます。

乾きましたら,オイルを塗ります。
僕はオイルに蜜蝋が入った物を塗ります。色がついていない皮革専用オイルを使いましょう。オイルを塗らないと革が固くなってバキバキになります。そうなると製品としての死を意味します。交換が必要になる訳です。





正直申し上げて,これはオイル塗って色が濃くなったからシミが消えたように見えるんじゃないのって言われれば,そうかもしれません。
ただ、色を染めてある物は,多少色が復活するので,水の表面張力により,中の色素を表に出しているんじゃないかとも思われます。色あせた感じが無くなりますので色が復活したようにも見えます。

しかしながら,これくらいになるとシミも消えません。

 


それでも細かな傷は見えなくなるので,全体が落ちついた感じになります。
表面の銀面が取れたり削られたりしていなければ、オイルを塗るだけで解らなくなります。気がついたらオイルを塗るようにするだけでもいいのですが,水垢なんかは水拭きしないと取れないので,時々はこういう事をした方がいいかと思います。

ちなみにこの鞄 15年程前に購入した物で,染めていないまっさらな鞄でした。よく使い出してからは7年くらい経ちます。

ちいさないえ

2012年08月30日 10時44分36秒 | 布メンテナンス
さて、内緒の展示がありまして、限られた人しか見ることができない展示に参加させていただいております。
この企画は素晴らしいものなんですね。もしかしたら、教育や行政とアートの関係を劇的に変換させる可能性がある企画です。だからこそ参加する意味もあるのですが、いかんせん何が起こるかわからないので、どこでどうやって行われているかは言えません。
うまく行って、社会や行政のお墨付きが付けばそちらから発信されることを期待しています。

それで、この作品コンクリなんですが、ちょっとわかりやすくコンセプトをつけました。

どこかの誰かの家は大雨が振ればみずびたし。日照りが続くとカラカラです。
今まではこんなことなかったけれど、いつからこんなになったのかしら。


後ろに食料庫と思ってくるみを置きましたが、どうも厠に見えてしまう。

絨毯の洗濯

2012年07月17日 21時03分58秒 | 布メンテナンス
この辺りも梅雨が明けまして,本日はいい天候で,暑いです。
こんな日は絨毯,キリムの洗濯に限ります。と言う事で洗濯にいそしみました。

キリムや絨毯。掃除機かけていれば,まあ、洗う事もないんですが,猫がゲロしちゃったり気持ち良くって寝ていたり,薪ストーブに落ちてきた雀によってすすだらけになったりするんですね。それをちょっと洗おうかと思うのは日本人だからですね。

さて,それはさておき、洗濯に入ります。
色々うるさい事言う人もいますが,人の事は気にせずいきます。絨毯の事知っていれば,やって良い事と悪い事の区別はつきます。



まずこの絨毯。
目があると言うか,毛の向きがあるので,その毛を逆立てる事なく手でなでるだけで,猫の毛やゴミがとれて行きます。普段はこれで十分です。
それから,デッキブラシなんかで,同じ向きにごしごしやります。回したり戻ったりするのはいけません。同じ向きにひたすらやるのです。



ある程度ゴミがとれたら,同じ向きで,水をかけながらブラッシングします。兎に角頑張ります。
この絨毯は50年くらい前の物。そう古くはありませんので,縦糸に綿のけんぼう糸が使われています。多分染料も合成染料が使われています。そうすると色うつりする事があるんですが,案の情しました。でもそれほどの影響はありません。
これでゴミと汚れがあらかた取れました。ちょっとしたアカネズミくらいの大きさの毛玉がとれました。



ついでにキリムも洗濯。
このキリムは結構古い僕が購入して20年になります。その時50年以上のオールドキリムとして購入したので,70年くらいになりますか。これは天然染料で染め,アフガンの遊牧民が織った物です。
キリムは基本横向きでブラシをかけます。絨毯とは垂直に向きが違う。もちろん丸を描いたりするのは御法度。毛玉になります。



洗い方は絨毯とほぼ同じです。
脱水かけても良いんですが,かけなくても良いです。早く乾きそうなときはかけなくても良いと思います。



その後天日干しです。早く乾かした方が良いので,日に当てます。
乾けばもう出来上がり。ちょっと時間がかかりますが,すっきりします。

乾燥したら,また少しゴミを取ります。これですっきり。