色を詠む

2005-11-22 19:47:55 | Weblog
        今日の絵は実むらさき(紫式部)

  A)  白梅のあと紅梅の深空あり 飯田龍太
      青すだれ透す一塊の白き石 青邨
      赤と青闘つてゐる夕焼かな 波多野爽波
    
  B)  れもん一つ緑の風の香に立てり 多田裕計
      柴漬のま青の笹を上げにけり 三上房江
      白絹を縫ふ縁先の青木の実 鳥井信行

  C)  白といふしづかな色の紙を漉く 大崎ナツミ
      青といふ色の靭さの冬の草 後藤比奈夫
      赤多き加賀友禅にしぐれ来る 細見綾子

 
 A.B.C群それぞれに色を織り込んだ句があります。
 A群は二色をそれぞれに、B群は色に隠れた色がC群は単色そのものを詠んでいます
 私は勉強不足であり、A群を詠むと片方の色が負けてしまいます。負けるという事は
 二色の対比ではなく、片方の修飾にしかならず、かなり意図が見えていいるという事に
 なるわけで、一般的に多い失敗はこれに当たると思います。
 ではC群はと言うとかなりの写生眼か色に対する感性が必要になり、感性においては
 独り善がりになりかねません。ただ、決まれば鮮やかな一句に仕立てられます。
 そこでB群ですが、この取り合せは、意図が無くても自然に詠みこまれる事があり、
 私の句もこのような句が多いようです。この組み合わせは隠された色とのバランスが
 大切なような気がします。

 私の大好きな俳人 飯田龍太の
 白梅のあと紅梅の深空あり(しらむめのあとこうばいのみそらあり)
 美しい韻ですね。
 ここにはもう一つの色が隠れています。その色は鑑賞者の思いの色です。
 


      ころころの今日の俳句


        白鳥の一尋に抱く夕日かな


      ころころの独り言


  色を詠むのも難しいけど、色香を詠んでみたいなぁ。俳句と食には欲が
  有るのに、他の欲が余り無いのはある意味電車男かもしれない。


      ころころのお気に入り


        ことのほか赤を好めり晩年は  明子
 
 

    



コメント
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