子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

予防接種の推奨と定期接種のギャップ

2018-09-02 20:51:43 | 雑記
8月に日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールを更新しました。

参照:「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」

新たな変更は、

1、就学前の 3 種DPT(ジフテリア・破傷風・百日咳) 混合ワクチン・不活化ポリオワクチンの追加接種
  (今のところ4種DPT-IPV(ジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオワクチン)混合ワクチンの5回目の接種は日本では承認されていません)

2、2種混合DT(ジフテリア・破傷風)ワクチン2期接種時に、DTのの代わりに3 種DPT(ジフテリア・破傷風・百日咳) 混合ワクチンの接種(ただし、任意接種)

現行の定期接種後の百日咳とポリオの抗体価低下に対応した推奨となっています。

不活化ポリオワクチンの接種は、海外では最後の追加接種は4歳以上が標準となっています。
(日本とほぼ同様の時季に4回接種している国は4歳以降に5回目の接種としています、4回接種の国は最後の4回目の追加接種を4歳以降に接種しています)

百日咳を含む3 種DPT混合ワクチンの接種も、百日咳の抗体価低下を理由に、アメリカでは日本に乳幼児期の4回摂取に加えて、4〜6歳と11〜12歳での背接種が行われています。
また、出生後からワクチン接種をしていない赤ちゃんを百日咳から守るために、妊婦(27週〜36週)に3 種DPT混合ワクチンの接種が推奨されています。
*アメリカでは、3種混合ワクチンにワクチンに含まれる抗原の量が違う「Diphtheria, tetanus, and pertussis (DTaP) vaccines」と「Tetanus, diphtheria, and pertussis (Tdap) vaccines」の2種類があり、7歳以下にはDTaP vaccines、8歳以上にはTdap vaccinesを接種します。
*日本で妊婦に対する3 種DPT混合ワクチンの効果・安全性の評価は確定していません。

実際の状況からワクチン接種が推奨されても、すぐに定期接種になる訳ではありません。

色々な効果や安全生に対する手続や予算の獲得などを経て予防接種が定期接種化されるまでには時間がかかります。

この時間的な空白の期間は任意接種として自費でワクチンを接種することになります。

今は定期接種となっている、ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチン・B型肝炎ワクチン・水痘ワクチンも他国に比べ日本は定期接種化されるのにかなり時間がかかりました、、(水痘ワクチンは日本で開発されたにも関わらず)。

今後、おたふくかぜワクチンや上記した3種混合ワクチンやポリオワクチンの接種は定期接種化されていくものと思われます。

ワクチンで予防できる感染症からこどもを守るためにワクチン接種を考えてみて下さい。