子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

風しんの流行とワクチンについて

2013-06-20 20:51:04 | 雑記
成人男性を中心とした風しんの流行が続いています。

風しんが流行することでの一番の問題は、妊娠初期の妊婦さんが感染発症してしまうと、胎児に風しんが感染して心臓の障害・難聴・白内障・発達障害などの障害(先天性風しん症候群)をきたしてしまう場合がでてくることです。

昨年から風しんの流行があり、残念ながら昨年秋から現在までに11例の先天性風しん症候群が報告されています。

今年の風しん患者の報告数は、6月の時点(約1万人)で昨年1年間の報告数の4倍を超えています(実際には、報告数の数倍の風しん患者がいる可能性があります)。

普通に考えても、これから先天性風しん症候群の発生数は増えてくると思われます。

こらから生まれてくる子どもを守るために、大至急風しんにかかる可能性のある人(十分な抗体を持っていない人)に対して風しんワクチンの接種を行い流行を収束させるよう対策を国がとるべきことだと思います。

しかし、昨年から流行が分かっていて、「ワクチンの費用助成を初めたのは今年度に入ってから」、「いざワクチンを受けましょうと言いながら、今度はワクチン不足」、、、、
あげくには、おとといのニュースで見た田村厚生労働相の発言は「(臨時接種とは)緊急時のパンデミック(世界的大流行)のおそれがあるものに対してという話で、なかなか風疹がそのような状況ではない。なかなか財政的措置をして、ほかの予防接種疾病と(比べ)、特別な対応ということころまでは来ていない。風疹は、まだ1万人ということでございますので」、、、、もうあきれるしかありません。

風しん単独ワクチンはもともと生産量が少なく先に不足しており、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)での接種が勧められていましたが、このMRワクチンの供給にも制限がでてきました。

当院では、1歳でのMRワクチン1期定期接種・就学前のMRワクチン2期定期接種が出来なくならないよう優先に考え、成人に対する接種は「風しん抗体価が不十分(HI:16倍以下)の妊婦さんのいる同居人」の方(できれば抗体価を確認して頂いて)には出来るだけ接種に対応していく予定ですが、それ以外の成人の接種はワクチンの供給が回復するまではお待ち頂くよう考えていますのでご理解の程宜しくお願い致します。