子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

水痘ワクチン・おたふくかぜワクチンの2回接種について

2013-01-04 14:16:05 | 雑記
今まで、水痘・おたふくかぜのワクチン接種は1回で行なわれてきましたが、より確実な感染予防の為に2回接種が推奨されています。

麻しん・風しんワクチンは、平成18年度より1期(1歳以上2歳未満)、2期(小学校就学前の1年間)の2回接種が行なわれるようになり、更に2回接種になる以前の年代を対象に、平成20年度~今年度(平成24年度)の5年間限定で、3期(中学1年生)・4期(高校3年生)が行なわれてきました。

ワクチン接種である程度ワクチン対象の感染症の流行が抑えられてくると、自然からのウイルスとの接触機会が減ることとなり、ワクチン接種1回だけでの免疫は年月とともに低下してしまうため、確実に流行を抑制するために免疫維持が必要なため、適切な時期での2回目の接種が必要となってきました。

おたふくワクチンも十分な抗体を維持するために、1回目は1歳以上早期に、2回目は小学校就学前(5歳以上7歳未満)を目処に接種が推奨されています。

水痘に関しては、最近の報告で1回接種での水痘流行時の罹患率は約50%、接種後1年以上経過した場合には80%弱となっており、1回接種後の予防効果が他のワクチンより悪い結果となっています。
検討された事例は少数ですが、1回接種後に抗体が陽転していたのに1年後には陰性となっていることがあり、この陰性化した事例に2回目の接種することで1回目接種後以上の抗体上昇(ブースター効果)が認められており、日本小児科学会は1回目接種後3ヶ月以上あけて、比較的早期の2回目接種を推奨しています。

ただ、水痘・おたふくかぜワクチンの接種率は30%前後で、この程度の接種率では流行を抑えることはできず、流行してしまうとワクチン接種をしていてもある程度の頻度で感染発症してしまうことが避けられません(ワクチンをしていた方が発症していても軽症化は期待できます)。

それなら、ワクチン接種せずにかかってしまった方がよいのではと考える方もいると思いますが、麻しん・風しん・水痘・おたふくかぜの中で、ワクチン接種で麻しん・風しんの流行が抑制された現在、2004年以降死亡報告が最も多い感染症は水痘となっており、またおたふくかぜも髄膜炎・脳炎での重症化や難聴、睾丸炎・卵巣炎などの合併症が比較的多くある感染症ですので、予防が必要な感染症だと思います。

最終的には流行自体を抑制すること必要で、そのために麻しん風しんと同様に定期接種化が望まれており、日本小児科学会も定期接種化の要望書を厚生労働省に提出しています。