子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

健康なからだづくり(2) ー 早寝早起き ー

2010-07-14 16:31:28 | 健康なからだづくり
もうすぐ幼稚園・学校など夏休みです。

僕が子どもの頃は、休みになると「早寝早起き、規則正しい生活を送りましょう」と標語のようによく言われていた気がします。

近年、僕が子どもの頃や今でも諸外国と比べると日本の子どもの就寝時間が遅くなっているようです。
3歳児の4~5割で、就寝時間が22時以降という調査報告もあります。
幼児期の睡眠時間が遅いと、それ以降も就寝時間が遅くなる傾向がると言われています。幼稚園や学校に入ると、朝の起床時間は決まってくるので、結果として就寝時間の遅れは睡眠時間の短縮(睡眠不足)になってきます。

何故、十分な睡眠を取る必要があるのでしょうか?

人間にも生き物として持っている様々な生態リズムがあり、その一つとして1日のリズムがあります。
ご存知の方も多いと思いますが、地球の1日は24時間ですが、人間の1日のサイクルはそれよりも少し長く、その誤差を朝に太陽の光にさらされることで修正しています。

そのサイクルの中の睡眠は、その間に様々なホルモンの分泌や脳内活動に必要な化学伝達物質の補給などが行われ、人間の成長や健康維持のために不可欠な時間といえます。

睡眠は子どもにとって、身体的な発育や脳の発達など健やかな成長に非常に重要な時間といえます。また、体内の免疫活動にも睡眠は関与しており、感染症かかりにくい体づくりにも正常な睡眠は重要な要素と言えます。
大人も、健全な精神活動に睡眠は不可欠だと思いますし、睡眠不足は生活習慣病や老化のリスク要素にもなります。

睡眠の役割について全て解明はされておらず、ちゃんとした睡眠をとらなくてもすぐに何か目に見える障害が出る訳ではないのでついついおろそかにしてしまいそうですが、特に成長期の子ども達にとって、成長期に適切な睡眠を取れないことでの影響は、睡眠に関連したこととは気付かないだけで、思いもよらない形でもう現れてきているかもしれません。

通常人間以外の生き物は、自然に身に付いたリズムで睡眠をとっていますが、人間は自分が作り上げたものに、注意して意識していないと生き物として必要最低限の自然な睡眠の時間まで奪われてしまっていると思います。

大人は自分のことは自分の責任判断で行動すればよいと思いますが、子ども達が健やかに成長するための環境は、大人の身勝手に子どもを巻き込まないよう子どもの立場で大人が考え整えていく必要があると思います。

子どもが早寝早起きできる環境というものを考えてみてはどうでしょうか?