子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

子どもの脳発達に必要なもの

2010-07-11 21:37:03 | 雑記
今回は特に根拠がある話題ではありませんが、普段感じていることを書いてみました。
一つの個人的な感想として読んでもらい、みんなが何か考える機会になればと思います。

近年、小児(大人を含んでもよいかも知れませんが、、)の高次脳機能障害が増えていると感じている小児科医は少なくないと思います。
小学生の数人に一人は、程度の差はあれ何らかの高次脳機能障害があるという報告も見受けられます。

高次脳機能障害とは?
落ち着きがない(注意欠陥や多動)、ある特定の学習ができない(学習障害)などを皆さんはよく耳にすると思います。
その他にもいろいろな障害がありますが、結果として社会生活に適応できないことなどが問題になってきます。
学級崩壊、いじめ、ひきこもり、すぐにキレる、、など多くの社会的問題との関連も無視出来ません。

なぜこのような障害が増えているかも知れないのか?

現代社会において、子どもが大人になるまで、バランスよく健やかな脳の発達を促す環境が損なわれてきているのではないかと考えることはできないでしょうか?
少し前までは、子どもが育って行く自然の過程で、高次脳機能障害のある程度の部分は改善または補完されてきたのではないでしょうか。

大人の過度の干渉のない、子ども同士の子ども社会。
子ども達自身が自分で考え、子ども同士の自然の関わりの中で自由に遊び・学ぶ環境が少なくなってしまったように思います。
子どもだけで遊んでいる様に見えても、内容がコンピュータゲームだったり、結局は大人の作り上げた環境や決まりの中で遊んでいることが多いと思います。
大人は、機会があれば社会の決まりや道徳といったことを指導するぐらいの役割で、子ども社会を外から見守ってあげるような環境。

子ども中心の子ども社会は、少子化や安全面の問題から実現しにくい環境とは思いますが、これからの子ども達のために何か出来る事はないのか、今の大人が真剣に考えていかなければならないと思います。

本などで「天才の育て方」「子育ては3歳までに決まる」などといった見出しをよく目にしますが、今の社会はこれからの子どもにどうなって欲しいと願っているのか不安になることがあります。
過去には、この様なことは考えたりせずに子育てをしていたと思います。

全ての子どもが天才にはなれません。
子どもに何らかの才能があれば、その才能を摘んでしまうようなことをしないような配慮は必要だと思います。
ただ、今の大人(社会)がこらからの子ども達のために、特別な見出しに惑わされる事なく、どのように考え行動していけばよいのかと考えてみることが必要だと思います。