デジカメぶらりぶらり

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太陽暦

2012-12-08 07:04:25 | Weblog
12月がわずか2日間で終わった年があるのをご存じだろうか。答えは明治5(1872)年。政府がそれまでの太陰太陽暦を廃し、欧米と同じ太陽暦に切り替えたためだ。

<今旧暦ヲ廃シ太陽暦ヲ用ヒ天下永世之ヲ遵行セシメン>との詔書と太政官布告によって、12月3日は明治6年の1月1日になった。布告は改暦のわずか23日前だった。1日も24時間と定められ、1日との6日休暇日から、日曜日が改められた。

急な改暦に当時の人々の慌てぶりを想像してしまうが、改暦の背景には明治政府の苦しい台所事情があったらしい。旧暦では翌年はうるう月があり、1年間は13カ月になる。赤字財政に悩む政府には役人に1月余分に俸給を支払う資格はない。

改暦の断行によって節約する腹づもりだったという。それだけではない。12月は2日間しかないのだから月給は不要のはず・・・。そんな理屈で、2カ月分を支払わなかった。随分と乱暴なやり方ではあるが、こうした事情がなければ、欧米の暦などを一気に受け入れることは出来なかったかもしれない。

この改暦がなければ、欧米の暦とのずれは深刻化し、日本の近代は遅れたはずだ。明治の改暦から140年になる。師走の街では、来年のカレンダーや手帳の特設売り場がにぎわう。

歴史を知ると、空気のような存在だった暦が身近になってくる。

倉敷市

2012-12-06 08:35:36 | Weblog
岡山県倉敷市の選挙管理委員会が、衆院選の投票所入場券を刷り直す羽目になった。別にミスを犯したわけではない。入場券には標語が刷り込まれていた。

「未来へ一票」ところが、業者から納品された2日後に新党ができた。「日本未来の党」。さすがに、まずい。92万円かけて刷った22万枚を処分し、大急ぎで作り直している。

なるほど選挙啓発の標語に「未来」はつきものだ。島根県選管がチラシ27万枚余りに入れた言葉は「未来を照らせ この一票」で、これも刷り直し。新しい標語は「明日を照らせ この一票」。

こうなると、土壇場で「新党明日」やら「明日照らす党」が出てきたらどうするの、と心配になる。何しろ、この結党・合流騒ぎだ。ポスターやチラシの作り直しもやむを得ない。しかし、看板政策の度重なる書き直しは、どうもいただけない。

日本維新の会の原発政策は「2030年ゼロに向け、積極的にアクション」だった。それが、太陽の党との合流で、脱原発」がいったん消えた。卒原発を掲げる未来の党が脚光を浴びると、「30年代までにフェードアウトする」となり、先日、石原慎太郎代表が「そういう公約は直させます」。

フェードアウトは、映画などで場面が少しずつ暗くなっていくこと。フェードインは、逆に明るくなること。さて維新の党勢はアウトかインか。

バングラデシユ

2012-12-05 08:08:43 | Weblog
開発学を学んでいた山口絵里子さん(31)は大学4年の時、チャンスをつかんだ。憧れの国際援助機関で働く機会を得たのだ。だが、そこにあったのは上から目線の官僚機構だった。

自分の目で途上国の現実が見たい。パソコンで「アジア 最貧国」」と検索したら、バングラデシユと出た。現実は想像を超えていた。街にあふれる物乞い。水害のたび失われる何千もの命。

腐敗した政治と、霧散する巨額の国際援助。逃げ出したくなっても、とどまり続けたのは、必死に、ただ生きるために生きる人々の姿に打たれたからという。

日本の4割ほどの狭い国土に1億5千万人が暮らすバングラデシユの最大の資源は、マンパワーだ。安い労働力は外国企業をひき付け、繊維産業で輸出を伸ばしてきた、しかし、工場の労働環境は劣悪だった。

従業員はうつむいてミシンを踏んでいた。山口さんは、作り手も売り手も誇りを持って、使う人に大事にされるモノ作りを目指した。困難を極めたが、24歳で起業した「マザーハウス」のおしゃれなバッグは今や、途上国と先進国を結ぶ新たなビジネスの一つの象徴だ。

ただ、そうした取り組みはまだ例外だ。先日は防火設備が粗末な繊維工場で火災が起き、100人以上が亡くなった。際限ない低価格競争の陰で、必死に生きる人々が踏み潰される現実がある。

セクシー

2012-12-04 07:50:08 | Weblog
世界で最もセクシーな男性は誰か。「アメリカで最も素晴らしい情報源」と自称するニュースサイト「オニオン」が発表した。誰あろう北朝鮮の若き指導者、金正恩氏である。

まずは、選考理由を読もう。「あっけにとられるほど美しい顔立ち、丸い顔、ポーイッシュな魅力とたくましい体つき。この平壤育ちの憧れの的はすべての女性の夢の化身だ」

まだ続く、「一分の隙もないファッションセンスと粋なショートヘア・・・」。もうふき出すしかない。いや、笑っていいのです。何しろオニオンの売りは風刺とユーモアなのだから、だが、冗談が通じない人はいるものだ。

中国共産党の機関紙『人民日報』の電子版が、この風刺記事を友好国の慶事とばかりに、大々的に取り上げた。「人民日報が悪ふざけに引っかかった」と外国メディアが報じ、電子版から削除したという。

その北朝鮮がまた、長距離弾道ミサイルの発射準備を進めているようだ。早ければ3週間以内にも発射の準備が整うかもしれないというから剣呑だ。民がいくら飢えても、火遊びはやめられぬとみえる。

ちなみにオニオン版「最もセクシーな男性」の過去の受賞者は、シリアのアサド大統領や、連続小包爆弾犯のカジンスキー受刑者ら。色男に危険な香りはつきものだが、この面々から漂うのは、強烈なきな臭さ。若き指導者の受賞に、これで納得。


エリコ

2012-12-02 07:36:52 | Weblog
エリコは、ヨルダン川の西岸にある。最も古から人々が定住した都市の一つとされ、聖書にも、その名が記される。旧約聖書が描くのは、老若男女ことごとく剣にかけられたエリコの大虐殺だ。

今はパレスチナ自治区のこの街で、発掘調査のための深い立て坑がある。よく見ると、不自然に黒い層がある。地元の人が教える。「あれは戦いで焼け焦げた跡。この街の悲劇の歴史だ」。

それが幾層もある。最古の街は、繰り返される殺戮の歴史を刻む。8日間にわたり、空爆とロケット弾攻撃の応酬を続けたイスラエルとパレスチナのイスラム原理主義組織ハマスが停戦に合意した。

地上戦は避けられたものの、160人が死亡、多くの子どもが犠牲になった。停戦は成ったが、中東のきな臭さは増している。イスラエルはイランの核開発阻止のため攻撃も辞さぬ構えだ。

米紙ニューヨーク・タイムズが書いている。「ガザのロケット弾戦はイラン戦争への実験だ」。ハマスが今回使った射程が長いロケット弾はイラン供与のもの。イスラエルの新型ミサイル迎撃システムは、米国の巨額援助で開発された。

双方、交戦で教訓を得たという訳だ。イスラエルでは年明けの総選挙に向け、政治家が勇ましい言葉を振り回している。それがいかなる悲劇を生むか、歴史は、十分に教えてくれているはずだが。