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告知

2013-06-20 06:48:04 | Weblog
日本で最初にがんの余命告知を医師に迫ったのは、明治の思想家、中江兆民だという。余命1年半と告げられ、兆民は医師に言う。「余は高々5,6ケ月ならんと思ひしに、1年とは余のためには寿命の豊年なり」。

そうして、遺著『1年有半・続1年有半』を書き始めた。反骨の人・兆民を敬愛した、なだいなださんは今年の3月、人生2度目のがん告知を受けた心境をブログに書いた。

<時間との勝負だな、積極的な気持ちになりました・・・兆民が『1年有半』を書き始めた気分です>時と競うように、兆民のように、なださんは思いを書き続けた。

死の9日前には、こう綴った。<告知は、本人に、自分の残りの人生を計画させるためには都合がいい・・・しかし、父、夫が次第に死に近づくということを知らされた近親の者たちには・・・苦痛を与えている>。

<そのことなど知ったこっちゃない、自分のことで頭はいっぱいだ、といっていられないのが、精神科医である本人・・・同僚たちよ、告知のこうした一面の研究をしてくれないだろうか。それがぼくの今の気持ちだ>。

そのブログに先日「娘より伝言」という一文が書き込まれた。<父は最後まで自分自身を冷静に見つめながら病に立ち向かい。その勇気に周りの者は強く心を打たれました>。

作家として、医師として、そして父として。実り豊かな人生が閉じられた。

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