10月14日 日曜日
午後、仕事場に行く予定が、精神的な調子が悪くて、横になっていた。
付けっ放しのラジオだけがやけににぎやかで、それが一番自分から遠く感じる。
トイレに行く気力も、ご飯を食べる気力もなく、催眠にかかったかのように、とはいえ、時にそのうなされた金縛りから解けて、水を飲んだりもしたが、そうしているうち、仕事場にも行けず、気付くと、ナイターも終わり、立ち上がったのは21時だった。
吐き気はないが、あるのは、虚無感と絶望感。
ふらふらと、台所に行き、お湯を沸かして、熱い緑茶を飲んだ。
体に深く染み入る。
夜中2時に睡眠薬をふだんより多めに服用して、横になるが、悪夢ばかり。
仕事で攻められ、追い詰められてばかりいるのだ。
パキシルが切れたせいかもしれない。
そんな断続的「魔」の刻を経て、夜明け早々に支度をして、欠陥住宅の家を出た。
10月15日 月曜日
ふらふらとしながら、都電「宮ノ前」の駅に。
みな、秋らしく上着を着る中、一人だけ自律神経麻痺した自分は、ワイシャツ1枚で腕まくりをして、窓を開けた都電の車窓からの風を受けている。
風が涼しいのは、ヘンなのか?
朝から晩までのロングランの様々な会議。
パンチドランカーのように、濁ったうつろな眼で、僕は、亡霊のように、意識無く立って居る…。
***
こんな夜だからこそ、動物たちの優しい姿が、自分を癒してくれる。
「20年間、風邪を引きっぱなしだけど、ショーは、明日も、続くんだヨ。」
(セックス・ピストルズ/パブリック・イメージ・リミテッド ジョン・ライドン)
ながながと述べてきたが、私は、「ロック」とか「ロックンロール」という概念を使うことを嫌う。
また、そういう概念を「傘」にして、ゴミみたいな音を奏でながら、ごまかしている連中を許すことも出来ないし、そういうものを「音楽」とは呼ばない。
私は、絶対に、そういう小汚い音楽を、信じない。
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長いこと、こういうくだらない「ロック」への嫌悪をあらわに、拒否し続けているバンドに「デペッシュ・モード」がある。
その息の長さは、まさに、こういう「ロック」というくだらない概念にこだわることなく、ちゃんと自分らの音を作り続けてきた思想に要因がある。
生き残るには、それに値する思想が根幹にあるのだ。
単なる時代の偶然ではない。必然なのである。
80年初頭から、NewWave・テクノ/エレクトロニクス音楽が大好きで追い続けてきた自分。
なぜ、その頃現れたNewWaveバンドや、テクノ/エレクトロニクスの音楽が、時代の中で淘汰されていくなか、デペッシュ・モードだけが四半世紀生き残ってきたのか?
それは、「ロック」や音楽がニンゲンを救うという幻想を、一切抱いていないことに由来する。
音楽はあくまで音楽であって、その音楽がどれほどのレベルなのかだけで聴かれるべきであって、それ以外のくだらない「ロックンロール」幻想などへの依存した自立できないかたわの出来損ない音楽とは、隔離すべきであるのだ。
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外に、自分の要因を求めて、外を巻き込むカタチで音楽を作ることなく、自分という自閉した小世界で考え、それをエレクトロニクスというものにたましいを吹き込み、音を作ること。
汚い世界に陶酔してギターをかきならさないこと。
力任せにドラムを叩かないこと。
叫びに近い欲求発散のために歌を歌わないこと。
小汚い外部世界とのたわむれではなく、純潔な自分の中の小世界で、世界を構築すること。
それが、どれだけ、「ロック」のような「もろく・崩れやすい」音楽ではない、揺るがない大きな世界を構築するか・・・。
それをデペッシュ・モードの音楽に感じ、自閉が持つ力の大きさを感じる。
【ニュース】イノシシ狩りの男性、仲間の散弾で死亡…宮崎・日南市
13日午前11時10分ごろ、宮崎県日南市酒谷の山林でイノシシ狩りをしていた近くの農林業田中覚さん(71)が撃った散弾銃の弾が、一緒に狩りをしていた近くの農林業山本政敏さん(72)の腹を貫通。山本さんは出血性ショックで死亡した。
県警日南署は業務上過失致死などの容疑で田中さんから事情を聴いている。田中さんは「山本さんが近くにいることに気付かなかった」と話しているという。
調べによると、2人は、同市の有害鳥獣駆除の許可を得て、同日午前8時ごろから狩猟仲間計17人で狩りをしていた。
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肉食をし、生き物たちを平気で殺戮していく人間の「自業自得」の事件。
何の同情も感じない。
さんざん、イノシシさんを殺した分の見返りですね。
死んだ人で、「人肉なべ」でもやったらどうですか?
きっとおいしいですよ。
アマゾンで調べると、このアルバム評に、このような、たいそう優れたコメントがある。
「それ以前のポリスにはなかった、暗く陰鬱(いんうつ)で一貫したテーマをもつ本作は、ほぼすべてのナンバーで、現代政治とテクノロジー文化のマイナス面を取り上げている。唯一の例外は「Every Little Thing She Does Is Magic」で、この完璧なポップ・ソングはラジオでヒットした。その他のナンバーはさまざまな問題を扱っている。抑圧に抵抗しようとする潜在的な願望、ほとんど工業化されていない世界の放棄、毎日爆撃のように脳に浴びせられる過剰なまでの言葉とイメージ、個人的な意見や政治的な主張を通すためにしばしば振るわれる暴力。それらが、ポリスにとっていつになく濃密な、何層にも音を重ねたアレンジで表現されている。」
このアルバムは、NewWave/エレクトロニック・ミュージックの全盛にいたろうとする1981年という瞬間においての、ポリス流の、その同時代の解釈・表現なのだろうと思う。
同時期に発売されたアルバムといえば、YMO「テクノデリック」、ゴドレイ&クレーム「イズミズム」、ゲイリー・ニューマン「ダンス」、シンプルマインズの「サンズ&ファシネイション」・・・・・
などなど、つい思い浮かべてしまう。
1981年年末近くの「時代の空気感」が、ここには「真空パック」で、詰まっている。
よく「シンクロニシティ」を、ポリスの最高作と上げる人が多いが、個人的には、思いいれも含めて、自分は、このアルバムを選ぶ。
まさに、陰鬱さが、全体を覆い、その陰鬱さに、自分は同調していた。
それまでのポリスの簡素な音構成を捨て、まさに、いくつもの層を重ねたヒュー・パジャムの作る、霧のような空気音の中、キラリと輝くものがある唯一のアルバムである。
ほとんど見えない暗闇の中で、鋭利なナイフを持って、ニヤリと薄笑いを浮かべた、危険な思想的感情を持った3人が居るような・・・。
4. Hungry for You・6. Too Much Information・7. Rehumanize Yourselfなどの従来のファンキーな路線、8. One World (Not Three) のようなポリス特有のレゲエ調のナンバーもあるが、自分が同調するのは、そこではない。
1. Spirits in the Material World ・3. Invisible Sun ・10. Secret Journey ・11. Darkness などの暗く暗闇でこそ輝く曲である。
物質世界の魂・見えない太陽・暗黒の世界・・・・
これこそが、自分が好む、「シロウト」ではない「プロ」のポリスの姿である。
万人に勧めるべきものではないし、本人らも万人に騒いで欲しくなかったアルバムであろう。
しかし、「シンクロニシティ」の騒ぎように比べて、余りにも過小評価されたアルバムと思う。
アルバムタイトル、ジャケットデザインも含めて、薄ら寒さというか、不気味さをたたえている点が、自分には、このアルバムを特別なものにしているのかもしれない。
<「ほとんどビョーキ」な世界です>
XTCといい、ポリスといい、音の繊細な美しさを表現することにかけては卓越した才能を持つ、ヒュー・パジャムのプロデュースの名作。
1. Spirits in the Material World
2. Every Little Thing She Does Is Magic
3. Invisible Sun
4. Hungry for You (J'Aurais Toujours Faim de Toil)
5. Demolition Man
6. Too Much Information
7. Rehumanize Yourself
8. One World (Not Three)
9. Omega Man
10. Secret Journey
11. Darkness
A面 1~3の流れの見事さ! そして、美しさ!
トータルコンセプトアルバムとしても、優れている1枚です。